2020年06月21日(日) 18:32
幕僚総監。銀英伝で最もわかりにくいポストです。
字義通りに取れば、「参謀総長」です。
しかし、同盟軍には統合作戦本部長と宇宙艦隊総参謀長、帝国軍には統帥本部長と宇宙艦隊総参謀長がいます。
では、幕僚総監は何の参謀総長なのでしょうか。
同盟軍の統合作戦本部に幕僚総監職があります。アムリッツアの後、クブルスリーがヤンに提示したポストです。
統合作戦本部の幕僚総監。意味がわかりません。幕僚トップは本部長のはずです。それなのに総監がいます。どういうことでしょう?
原作1巻冒頭にこんな文があります。
「彼(ヤン)の目標は統合作戦本部長でも宇宙艦隊司令長官でも幕僚総監でもなく、戦史編纂室の研究員だった。軍人としての出世にはまるで興味がなかった。」
統合作戦本部長や宇宙艦隊司令長官に匹敵する顕職らしいです。
これはおそらく統合作戦本部の幕僚総監でしょう。
大将級のポストだと思われます。
このポストを提示された時、ヤンは第13艦隊司令官の職にあり、大将昇任が確実視されていました。
一方、クブルスリー暗殺未遂事件で統合作戦本部長ポストが一時的に空いた時、
ビュコック宇宙艦隊司令官が代行就任要請を拒否したので、ドーソン統合作戦本部次長が代行をつとめました。
幕僚総監は本部長職承継順位から外れているか、本部次長より下位なのです。
その後、同盟軍の幕僚総監は一度も登場しません。
士官学校時代のヤンが三顕職にあげているので、幕僚総監は常設職のはずです。
しかし、クーデターでもラグナロックでもレベロ政権でも登場しません。
トリューニヒト政権下で機構改革が行われ、幕僚総監職が廃止されたのかもしれません。
では、幕僚総監職の役割とは何か。
わかりません。本当に。手がかりすら無いのです。
幕僚の総監なのだから、参謀長に類する職でしょう。
統合作戦本部長の参謀長。参謀総長の参謀長。意味がわかりません。
あえて強弁するならば、同盟軍最高司令官代理の参謀長なのかもしれません。
統合作戦本部長は、戦時においては同盟軍最高司令官代理の称号を保持します。
つまり、同盟軍最高司令官たる最高評議会議長の代理です。
実質的な国軍司令官といえます。
司令官であれば、それを補佐するスタッフ組織が必要です。
そして、その組織には長がいます。
同盟軍幕僚総監は、事実上の国軍統合司令官たる統合作戦本部長の参謀長ではないでしょうか。
次長は統合作戦本部の副長、すなわちラインの人間です。スタッフにはなりえません。
本部長=国軍統合司令官、次長=国軍統合副司令官、幕僚総監=国軍統合参謀長
こういう仕組みだと仮定すれば、三顕職の1つに数えられるのも、クブルスリーがヤンを用いようとする理由も、トリューニヒト政権下で登場しない理由もうなずけます。
トリューニヒト政権は軍部に対する締め付けが強い政権です。ことあるごとにヤンの力を弱めようと策動しました。軍を自派で固めようと躍起になりました。盗聴という非合法手段を使ってでも、軍幹部の言動を探ろうとしました。宇宙艦隊の幕僚人事にたびたび首を突っ込みました。
これはクーデターの影響というより、もともと「そういう政権」だったのだと思います。
慰霊祭の件からも分かる通り、トリューニヒトは反対者への制裁をためらわない人物です。そのためなら非合法的手段もいといません。こういう人物が政権を握れば、思い通りにならないものの存在を認めないでしょう。軍部の権限削減に走るのは当然の成り行きです。
こうした流れの上で、統合作戦本部長権限が縮小され、幕僚総監職は廃止ないしは名誉職化したのでしょう。トリューニヒトとクブルスリーの対立も、こうした流れの一つとして解釈できるのではないでしょうか。
うがった見方をするならば、ドーソンの統合作戦本部長起用は、誰もが認める軽量級の人物を据えることで、本部長職の重みをなくそうという意図があったのかもしれません。重量級本部長であるシトレが何を成したか。トリューニヒトはよく覚えていたはずです。
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2020年07月03日(金) 16:10
神山甚六
>幕僚総監
邦訳の問題はともかく、総監は辞典によると「組織全体の事務・人員を統率・監督すること。また、その官職」という意味になるそうなので、そうなると幕僚総監は文字通り解釈するなら幕僚の監督に人事の統率…ってなると統合作戦本部長と被りますしね。個人的には旧日本陸軍3長官のうちの、教育総監部門を全軍に拡大したイメージをしました。
2020年06月21日(日) 19:52
モリー油
シトレは国家の統制を受けない、独自の権威・論理をもった"中立/国家内国家"の軍隊、語弊があるかもしれませんが帝政ドイツ式のものを目指していましたからね…
まぁ百年以上続く戦争で有事が固定化されているゆえ仕方ないでしょうが、軍事的な視点で物を見すぎた結果、イゼルローン攻略後の破滅的な攻勢を招いたと思います
これは後知恵かもしれませんが、政治的に見れば予見できた気がしますね
2020年06月21日(日) 19:20
鶴亀屋
「重量級本部長であるシトレが何を成したか」
見直すと、イゼルローン攻略で無理矢理自らの本部長職を延命したこと?
にしても「何かしたっけ?」と思えるほど原作本編やと影が薄い。アムリッツァでロボスに主導権取られて、特に活躍出来ず負ける。その後は故郷で農業して、オーベルシュタインの草刈りまで出て来ないし。
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