ハーメルン
零戦の活動報告
第二話
2022年01月16日(日) 21:11




「そうか、今はアイゼンヘルツ星域の男爵家か……」
「まぁ父親も戦死してたし母親も病で亡くなったものだからそこまでじゃないわよ」

 数百年振りに再会した二人は二時間も話し込んでいた。そして夕食も共にしてマサカズはマサノブに告げる。

「嫁はこの人で」
「お、おぅ」

 あまりの早い決定にマサノブも思わずたじろぐのであった。なお、式についてはマサカズが20歳で家督を継いだ時である。
 それはさておき、マサカズの嫁も決まった事だがマサカズがオーディンに戻れば異動命令が来ていた。異動場所はイゼルローン要塞の駐留艦隊だった。しかも宇宙母艦の戦闘艇『ワルキューレ』パイロットとしての乗り込みである。(実は戦闘艇課程修了)

「さて……どうなる事やら……取り敢えずまだ死にたくはないなぁ……」

 そう呟くマサカズだった。イゼルローン要塞に着任するとそのまま艦艇に乗り込み着任報告を艦長にした。

「マサカズ・フォン・ミヨシ、只今着任しました」
「うむ。宇宙母艦『シャルン・ホルスト』にようこそ。艦長のクリストファーだ」

 大佐のクリストファーはマサカズと挨拶をする。

「フェザーン経由の情報ではまたしても叛徒どもが数個艦隊でイゼルローン要塞に攻めてくるとの事だ。我々も出撃は決まっている。貴官も準備はしておく事だ」
「はっ、ありがとうございます」

 そして数日後、宇宙母艦『シャルンホルスト』は要塞艦隊の第24航宙戦隊として出撃した。

「おい、あれが新任の中尉か」
「そうらしいな。何でもオーディンで雑務をしていたらしいが……」
「チッ、あんな奴に命預けるたぁな……」

 ワルキューレの格納庫でパイロット達は愛機を整備しているマサカズを見てそう言い合う。

「貴族様だが何だか知らんが……」
「一応は指示に従えよ」
「へいへい……」

 パイロット達はそう言い合うのであった。なお、そんな事は露知らずにマサカズはワルキューレの整備をするのである。
 そして帝国歴476年(宇宙歴785年)、イゼルローン要塞を巡る争いーー第四次イゼルローン攻防戦が開始されたのである。
 攻める自由惑星同盟軍は三個艦隊を出していた。

・第一艦隊(ロボス大将)
・第三艦隊(パラディアム中将)
・第六艦隊(カーター中将)

 総司令官は第一艦隊提督のロボス大将である。ロボス大将は大将に昇進したばかりでの戦闘であった。

「スパルタニアンを出せ。奴等の出方を探る」

 三個艦隊から次々と小型戦闘艇である『スパルタニアン』を出撃させる。イゼルローン要塞艦隊もそれに合わせてワルキューレを出したのである。

「全機発艦!!」

 クリストファー大佐の命令にワルキューレ隊が次々と発艦していく。その中にはマサカズも含まれていた。

「これが……宇宙戦争……」

 遠くで爆発する火球らは宇宙の芸術とも言えた。一瞬、見とれたマサカズだが直ぐに我に返って速度を上げ敵艦隊に向かう。その途中で敵戦闘艇ーースパルタニアンと激しい空戦を展開するのである。

「そこだ!!」

 マサカズがレーザー砲の引き金を引き四門のレーザー砲が狙ったスパルタニアンを貫きスパルタニアンは爆発四散した。

「よし、次!!」

 マサカズは立て続けに3機のスパルタニアンを撃墜するとマサカズの腕を見た他のスパルタニアンは集まり包囲してマサカズのワルキューレを落とそうとレーザー砲やウラン239弾を撃ち込むがマサカズは絶妙なタイミングで回避をするのでスパルタニアン隊はマサカズのワルキューレを落とす事が出来なかった。

『何だこのパイロット!?』
『絶妙なタイミングで避けやがる……かなりのエースだぞ!!』
『んな事は分かっている!!』

 更にマサカズが3機撃墜すると応援のワルキューレがやってきた。形勢が不利と判断したのかスパルタニアン隊は踵を返して退避するのであった。

「何とか生き残れたか」

 マサカズはそう呟いて『シャルンホルスト』に帰還する。帰還したら他のパイロット達も帰還しておりマサカズを見つけたら急に敬礼をしてきた。

「ん? どうしたどうした?」
「いえ。中尉の腕を侮っていました……が、信じるに値すると判断しました。どうか我々を存分に使って下さい」

 パイロットはニヤリと笑いマサカズも笑い返した。

「ダンケ皆。改めてよろしく」

 初陣で6機も落としたマサカズはパイロット達の心を掴んだのであった。なお、その後戦闘は8日間も続き最終的に三個艦隊で押し出そうとしたロボスだったが要塞艦隊が敗走という名の擬態行動に誘い込まれてしまい『トゥール・ハンマー』を撃ち込まれ4000隻以上があっという間に撃沈した事で撤退に移行するのである。
 なお、マサカズはこの戦いで戦闘艇39機を撃墜。更に駆逐艦5隻、巡航艦1隻を撃沈する武功を立てるのであった。

「俺の奢りだ、皆で飲んでくれ」
「ありがとうございます隊長!!」
「あざーす!!」

 イゼルローン要塞に戻った要塞艦隊は軍港に係留し『シャルンホルスト』も整備と補充をする事になりその間は休暇となった。そのためマサカズは生き残ったパイロット達に奢るのである。そのため益々パイロット達の心を掴んだのであった。
 その後は同盟軍も完全撤退した事もあり警戒は解除されイゼルローン回廊に平穏が訪れたのである……と見られたのは数日間だけだった。

「え? 小規模の艦隊が?」

 500隻程度の小艦隊がイゼルローン回廊に侵入してきたのだ。そのため要塞艦隊の一部が出撃する事になり『シャルンホルスト』も出撃する艦艇に含まれていた。

『ワルキューレ隊は発艦せよ!!』
「やれやれ、また戦闘か。生き残らないとな」
「生き残ったらまた隊長の奢りですね」
「飲みたかったら生き残れよ」
『勿論です!!』

 艦長からの命令にマサカズらはそう言い合いながら出撃するのであった。ちなみにイゼルローン攻防戦は大規模な艦隊決戦は史実と同じ頻度だったが小規模な艦隊決戦は腐る程多かったのである。
 なお、今回の戦いでマサカズは戦闘艇8機を撃墜するがこれは長きに渡る始まりに過ぎなかった。というのも同盟軍は小規模な艦隊を繰り返しイゼルローン回廊に向かわせる事で要塞艦隊の疲労を溜めていく戦法に変えたのである。

(こりゃあ史実のラバウル航空戦だな……)

 スパルタニアンを撃墜しつつマサカズはそう思うのであった。




ーーー後書きーーー

多分、小競り合いな戦闘は恐らくあったとは思うんですよね
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