ハーメルン
交響魔人の活動報告
「猫シンクロ使いが行く遊戯王GX」を執筆した振り返り、前編
2022年06月18日(土) 17:09
今回、拙作「猫シンクロ使いが行く遊戯王GX」を執筆した経緯について記させていただきます。
私が遊戯王の二次創作を読み始めたころ、アンチリスペクト物にも出会いました。
その作品では遊戯王以外の他作品のヒロインが登場し、オリジナル主人公と恋愛するという内容もありましたが、読み始めた頃は全てが新鮮で面白いと思っていました。
それから遊戯王OCGを始め、遊戯王GXシリーズを改めて視聴した上で色々な作品に触れていくうちに
『サイバー流のアンチリスペクト物はおかしくないか?』という事に思い至りました。カウンター罠ダメ、バーンダメ、そういう事をアニメにおいて鮫島校長も丸藤亮も言っていないと。
また、私と同じように問題点を指摘する方がいらっしゃり、その方の考えに触れていくうちにアンチリスペクト物の粗が見えてくるようになりました。
しかし一方で『アンチリスペクト物はこのような指摘されている問題点を解決していれば、面白くなるのでは?』という思いも生まれました。
例えば、「サイバー流の掲げるリスペクト精神について具体的に説明されていない」「主人公以外のリスペクトに反している決闘者を制裁対象にしない」などです。
そこで、拙作の『リスペクト・デュエルとは何ぞや?』という具体的な説明として、
「除去はダメ!カウンター罠は問答無用でガチカード!バーンもダメ!ハンデスもやめて!コントロール奪取なんてしないで!ロックは卑怯だ!全体除去からのワンキルもするな!」
というファンデッカスみたいな考えにしました。これは遊戯王スレで話題になった方のレスがモデルです。
一方でこんな思想を鮫島校長がしている、という描写をしたくないので、オリジナルキャラクターを作成しました。
才災(さいえん)はサイバー・エンド・ドラゴンから取っていますが、サイバー流で災いをもたらすという意味も込めています。結末はサイバー流に災いをもたらしましたが。
ここで問題となったのが、そんなファンデッカスみたいな奴が鮫島師範を追い落としてサイバー流の師範になれるか?という事です。
そこで、デュエリストとしては屑だがそれ以外の要素、運営者として根回しをしたり、カードのエラッタに長けているとしました。
それだけではあまり魅力がないので、「過去にイカサマをされた被害者である」「少なくともケチでは無く、気前が良い方」という要素を入れました。
一応、決闘者としての腕も相応にあるような描写も入れました。サイバー・エンド・ドラゴンを3体並べるとかです。
続いて、主人公以外の生徒にも目を向けさせました。
こういうアンチリスペクト物の世界だった場合批判されるであろう原作キャラ、バーンデッキを使う綾小路さんもターゲットにしました。
アンチリスペクト物ではオリジナル主人公だけが標的にされていますが、それはおかしいだろうという指摘があったからです。
バーンがダメならアニメのテニスデッキもアウトでしょう。ロックバーンを使うセイコさんもアウトだと思います。TF3での話ですが。
それだけでは足りないので、オリジナルキャラクターとして【里ロック】使いも用意しました。彼女はアンチリスペクト物の主人公として設定しましたが、没にしたのを再利用しています。
個人的に黒幕に利用されて望まぬ戦いを強いられる一般人や第三勢力の悲哀、というのが好きなので彼女には猫崎と戦ってもらいました。
このような生徒を残し、集中して批判・否定することでサイバー流を定着させようとするのが、才災校長の狙いでした。
他にも色々要素が欲しいと思い、遊戯王の二次創作の主人公候補としていた【昆虫族】使いも登場させました。サイバー流に転向する決闘者、という描写を入れる事でサイバー流の勢いを表現できるので。最も彼はGXの世界にS召喚やX召喚を持ち込むOCG次元出身者を、リクル転移などの戦術を駆使しながら倒していく、という感じの話の構想がありましたが、没にしました。
続いてサイバー流の門下生を用意しました。こういうアンチリスペクト物ではサイバー・ドラゴンとプロト・サイバー・ドラゴン、後はサイバー・エンド・ドラゴンとサイバー・ツイン・ドラゴンばかり使っているのでそういうカード縛りでデュエル内容を考えました。ファンデッカスみたいな思想を持たせているので、除去すら積めないとなって頭を何度も抱える羽目になりました。使えるカードの種類が限られるのは、本当に厳しいです…。
ワンパターンにならないようにしましたが、やはりワンパターンになってしまいました。この辺りは私の実力不足が露呈しています。
最も感想欄でガーゼットを押している方がいらっしゃった事で、少し毛色の違う門下生を出すことができました。
アンチリスペクト物では珍しい、こういうサイバー流門下生VSセブンスターズも書きました。
ダークネス吹雪戦だけ書きましたが、これだとほかのセブンスターズとサイバー流が戦っても勝敗は目に見えていますよね。アビドス3世と黒蠍は負けそうですが。
原作と違い、影丸理事長が綺麗になってしまいました。感想欄で才災師範を応援する声が微塵も無かったのは…いや、当然ですね。
アニメだと若者の活躍を見て青春を取り戻したい、という動機でしたが、拙作だと若者の可能性を食いつぶす才災に鉄槌を下そうとする老人の生き様を示して散っていくという形になりました。
才災校長がやっていた悪行を糾弾するならば、影丸理事長がふさわしいと思ってその役割を振りました。
アンチリスペクト物だと入学させた後で派手に退学させようとする展開がありますが、それについても『筆記である程度絞れば?』という指摘をしている作者様がいらっしゃったので、そこを考慮した結果『筆記でリスペクト云々に対して否定的なら不合格』『実技であえて批判対象にするための生徒を選抜する』というどす黒いアカデミアになってしまいました。闇が深すぎますね!
影丸理事長にはここで退場してもらいました。感想欄でも触れられていましたが、ここで退場させるのはもったいないという気持ちもあります。ですがここで退場させたから惜しむ声があるとも思っています。
十代のやりくりターボですが、WCS2008というゲームでヨハンとのタッグで使ってきます。その為十代にはやりくりターボのイメージがあったりします。
実家編はあまり望まれていなかったようですが、やはり書きました。サイバー流とは別ベクトルでやべーやつらの見本市です。
マハー・ヴァイロに各種カウンター罠を入れて守りつつ攻める亮三という弟、ネフティスの鳳凰神を使いつつ罠カードによる除去を使う鳥貝、波動キャノンで焦らせアステカとモンスターBOXのワンキルを狙う間似谷、【コアガジェット】を使う兄の婚約者、【お触れホルス】にキングドラグーンを入れた恭一という兄。
恭一は万丈目兄弟とデュエルについて語り合えそうですね。どちらかというと炎属性が主軸なので、バーニング・ブラッドなんかも入っていたりします。
万丈目とタッグを組んだら、キングドラグーンで耐性を付与しお触れホルスで魔法・罠を封殺。邪魔な壁はアームド・ドラゴンで蹂躙…。やりくりターボを使える十代すら倒せるのでは?
グランモール?知らない子ですね。
俊二がいじめられている原因を髪の毛の色にしました。染めるのはNG、地毛だろうと黒に染めるなと割とどうしようもない村です。
その中で自分が正しいという価値観を真っ直ぐ貫く我謝さんがすごくいいキャラになってしまいました。ここの兄が嫁に貰うのはちょっと勿体ないか?
今まで読んできた、アンチリスペクト物にありがちなサイバー流門下生と、拙作の除去とかカウンター罠ダメ。
そういった縛りを取っ払って好きに出来るようになったのが、サイバー・ランカーズ編からです。
アンチリスペクト物でサイバー流の勢いが強いというのを読んでいて、「プロとして活動しており、その中でも上位のサイバー流のエリートデュエリスト達が立ちはだかる」という構想があったので、それをようやく形に出来ました。
今までのサイドラとプロトしか使ってこなかった門下生とは格が違う事を新規カードを使ってのデュエル内容で表現し、かつ色々な個性を出せました。
才災師範以上にファンデッカス丸出しの九州ブロック。そしてヒロインも格上の決闘者とのデュエル。
実はオリジナルキャラクターである才災を作成した理由はもう一つあり、アンチリスペクト物では『リスペクトを重んじるサイバー流の考えがダメ』というのではなく、『リスペクトの名のもとに相手を批判・否定するような人に問題があり、リスペクト精神自体は間違っていない』という描写をするためです。
それを描写したのが、才波光里VS福岡のサイバー・ランカーズ戦です。『鮫島元師範の教えを引き継ぐ』才波光里と、『才災師範の相手を批判・否定する教えを守る』ランカーズ、という対決です。
ここで、キメラテック・オーバー・ドラゴン、キメラテック・フォートレス・ドラゴン、サイバー・エルタニンを今まで使ってこなかった理由を述べました。
それだけでは要素が薄いので、ナンパ目的の中国ブロックと、実力を認めればサイバー流に入らないか、と勧誘してくる求道者的な四国ブロックという描写を入れました。「仲間になれば世界の半分を与えてやろう」的な、敵から勧誘されるシチュエーションは主人公の強さをわかりやすく表現できるので好きです。
そして。
今回、アンチリスペクト物を執筆する上で、主人公に使わせるデッキの決め手となった、スリーカードを使う近畿ブロック。
今回主人公に使わせるSテーマは凄く悩みました。【アンデシンクロ】、【シンクロン】、【ジェネクス】にするか。はたまた【BF】か?
Sモンスターになってしまったダークエンド・ドラゴンとライトエンド・ドラゴンを切り札にした【ドラゴン族】も候補だったりします。
そんな時、【サイバー・ドラゴン】と【猫シンクロ】の対決を表現しているこの罠カードと出会ったことで決定しました。
続いて野心家である中部ブロック、そしてバーンやパーミッションを使ったことで対戦相手を無くした友人がいる東北ブロックと表現できました。
最後は才災師範が発狂して資産を持ち逃げしようとして捕って没落。この物語の風呂敷をここで一旦たたむつもりでした。正直、拙作は否定されると思っていたので。想定以上に好評で二期も初めてしまいましたが…やはり途中で「コレジャナイ感」が出てしまいました。なので予定通りの所で風呂敷を畳みました。
いじめられっ子だった少年が驕り高ぶるサイバー流を打倒し、最後はヒロインと結ばれて幸せになる、というサクセス・ストーリーに仕上げました。
ヒロインですが、拙作ではサイバー流の門下生から採用という形にしました。
というのも、以前ある作者様から『幼馴染系ヒロインは、主人公との関係の変化を書きにくい。元々敵とかそういう立場なら、関係の変化を出しやすい』という意見を頂いた事があります。
『元鮫島師範の教えを受けており、今のサイバー流の在り方に疑問を抱いていたがそれでも離れられず、追放された事で吹っ切れて主人公と恋仲になる』という関係の変化を描きました。
カードの精霊と心を通わす、という設定は主人公には与えませんでした。原作開始してからのGX一期のイベントを大幅に省略したのは、拙作のコンセプトを『アンチリスペクト物にありがちなサイバー流と、S召喚使いの主人公の対決』という点に絞ったからです。主人公たちとも関わるが、それは猫崎が関わっても差し支えのない範囲に限定しました。(三沢VS万丈目戦では、三沢は結局昇格せず、万丈目はノース校へ行くので)
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