ハーメルン
余熱の陽炎
作者:うさヘル

未来。火星。遥か未来―――、人間は熱を操る事ができるようになった。熱は世界の源。
人類は世界の源である熱を自在に操作することが出来るようになった。人類はその頂点の栄光と極みの光景に酔いしれ―――、そしてすぐさま絶望するようなった。頂点とはすなわち、上が存在していないということだ。極みとはすなわち、終わった状態であるということだ。頂点に立った人類は目指す頂を見失った。極みに至った人類は敵を失ってしまった。真に人類が頂きとなった今の時代。未来に希望を抱くことの出来る大人は一人たりとも存在していない。

そんな世界の中―――、青年はゆく。誰よりも強い存在になりたい。ただそれだけの単純な願いを胸に、青年は世界の中を前進し、前進し、前進して、只管に足掻き続けてゆく。

旅路のさなかに出会う先人たちは言葉で、力で、態度で、心で、伝えてくる。

君は私と同じく、欲する才能を持たずに生まれてきた欠落者だ。
お前の手が欲するその座に届く事は、決して、ない。
私の言う事を聞けば、あなたのその大それた願いが叶うようにしてあげましょう。
あなたの才能では絶対に届かない。

―――知った事か。

誰に何と言われようと諦められない夢がある。
誰に何をされようとも捨てられない願いがある。
笑われようが構わない。
馬鹿にされようが知った事じゃない。
理解されようなどと思わない。
だって俺の夢は俺のものだ。
俺の夢はお前を気持ちよくさせる為の道具じゃない。

だから、ゆく。
何処までも前へ。
力の限り、前へ。
その過程で朽ちようが構わない。
その果ての結末に救いが『ある』か『ない』かなんて、今の俺の知った事じゃない―――

青年は、ゆく。旅路が苦難に満ちている事を知りながら、旅路の果てに望みは絶対に叶わないと結末を予言されておきながら、それでも青年は止まらない。

前に進む事を諦めない。

夢を、諦めない。

これは愚かしい程に真っ直ぐな青年が何処までも前に進んでゆく物語。

※このお話は、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

~目次~

第1話『カミヤ』
◇第1話『カミヤ』(1)
◇第1話『カミヤ』(2)
◇第1話『カミヤ』(3)
◇第1話『カミヤ』(4)
第2話『ミウミ』
◇第2話『ミウミ』(1)
◇第2話『ミウミ』(2)
◇第2話『ミウミ』(3)
◇第2話『ミウミ』(4)
◇第2話『ミウミ』(5)
◇第2話『ミウミ』(6)
◇第2話『ミウミ』(7)
第3話『ヘラ』
◇第3話『ヘラ』(1)
◇第3話『ヘラ』(2)

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