彼女の道とその先の答え
桃毛獣ババコンガ。
頭の髪を固めたトサカが特徴的な牙獣種。ピンク色の可愛らしい体色とは裏腹に、長い爪は攻撃的な印象。
体格の良い身体から伸びる長い尻尾は、器用に物を掴んでそのまま口に運ぶ事も出来たりする。
「フガゥ」
今そこで、キノコを器用に尻尾で取ってそのまま食べるあのババコンガがまさにそれを証明していた。
「あ、さっきババコンガが食べたの特産キノコだニャ」
「ぇ、嘘ぉ?!」
私達が探してたキノコ……。
「なるほど、遺跡平原全体としてキノコが減っていたのはそういう事か」
冷静に呟くアランだけど、このままじゃメインのクエストをクリア出来なくなってしまう。
ババコンガさん、私にそのキノコを分けて下さいお願いします。
「ぇ、ぇーと、それで……どうするんだっけ?」
私達は特産キノコ八個の納品。そして普段の縄張りから離れた所に現れたジャギィの討伐というサブクエスト達成のために遺跡平原に訪れていた。
いくら探してもあと一つ足りないキノコをひとまず放置して、ジャギィの問題を解決しようとしたんだけど。
お魚のおかげで気を許してくれたのかな? そんなジャギィさん達が私に見せたのは、彼等の縄張りだった筈の場所に堂々と居座っているババコンガだった。
「あのババコンガは多分、キノコが多いこのエリアを気に入ってここに居座ってるだけなんだろう。マイペースな奴が多いからな」
「えーと、つまり?」
「ババコンガがここに居る理由を無くせば良い」
「えーと……」
ど、どうすれば。
「キノコを無くせば良いニャ」
「ぇ」
「この辺りのキノコが無くなればあいつは何もしなくたって勝手に出て行く、それで解決だ」
「んー、でもババコンガさんの目の前でご飯を奪ったりしたら怒るんじゃないかな?」
食の恨みは怖いって言うしね。
「もう少しだけ待ってみろ。……あいつは寝る」
「え、なんで? 分かるの? というか、寝るの?」
ここは私達の世界じゃない。
お昼寝なんてしたら、忽ち他のモンスターに襲われてしまう。
「フゴゥ……フガァァ……」
そんな会話の最中で、ババコンガは大きな背中から倒れる様に寝転びます。
そしてその後、間髪入れずに聞こえてくるババコンガのいびき。
気持ち良さそうにいびきをかきなが、お腹を爪でボリボリと。丸められた尻尾にはキノコが一つ。
「本当に寝ちゃった……」
「アレはそういうモンスターだからな」
マイペース過ぎだよ……。
「カチコミ入れるニャ?」
ダメです。
「ウォァ!」
「ウォゥッ」
「ウォゥッ!」
ただ、ジャギィさん達はムツキと同意見みたい。
ババコンガが寝た瞬間に鳴き声を上げるジャギィ達は、三匹共私を見詰めてくる。
お魚のおかげなのか、私の事を仲間だと思ってくれてるのかな?
ババコンガを倒すのを私に手伝って貰いたい。そんな意思を感じた。
ぅ……どうしよう。
私は貴方達を助けたいけど……ババコンガさんも助けたいんです。
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