15. 殲滅ミッション 3
今は夜だが、夜目も少しは利く。
色欲狂い、それから能天気とも合流し森に向かって走る。痩身は別の方に行っているのか、会わなかった。荒地の方に車とかで逃げた方は、人間達が追っているとか。
墜落したヘリコプターが炎上しているのも見えた。
走っていると、人間の死体が多数あった。銃器と共に落ちていて、爆弾もあったが、今はもうこれ以上持てなかった。
この暗闇なら、煙幕の爆弾は要らないか……? いや、一応持っておこう。
走り続け、人間の死体が続く中で、プロテクターを着けていないファルファレルロの死体も見つけた。
中堅、そして、悪食。
…………死んでいる。本当に、もう、完全に。
透明になれるからと言って過信し過ぎたのか?
酷い驚きだった。こんな簡単に死んでいるなんて思いもしなかった。
傷の跡は、普通に銃弾だった。
プロテクターを身に着けていれば、屁にもならない弾丸を大量に撃ち込まれていた。
片目は? 古傷は? 紅は? 他の中堅達は生きているのか?
恐怖と焦りがあった。森の中からは、銃声が聞こえてくる。
……行かなければ。
それ以降、ファルファレルロの死体が無かった事は幸いだった。
森の中に入り、木々の上を伝って移動する。体はまだ、そう疲れていない。
……いや、ちょっと疲れている。
未だに首輪を簡単に外せる事実に驚きを隠せていない。組織の人間を殺した事がばれるか不安だ。悪食が死んでいた事に更に驚いている。
体は疲れていないが、色んな事が起こり過ぎて、頭が疲れているような感覚だった。
ルービックキューブをずっとやっていた時の感覚にちょっと近い。もっと重い疲れだが。
木々の上を伝いながら、銃声の方へ進む。
気を引き締めた。疲れに身を任せるのは、まだまだ先だ。
勢いのままに跳び、太い枝を掴む。遠心力に引っ張られるがままに更に先へ跳び、幹へ飛ぶ。
いきなり、腹に衝撃が走った。
そのまま背中から地面に落ちた。ぐちょ、と泥の中に突っ込んだ。
……撃たれた。
プロテクターが無ければ死んでいた。プロテクターを身に着けてなかったら、ここで自分は終わっていた。
ぞくぞく、と体が震えた。
咳をしながら何とか幹の後ろに隠れると、色欲狂いと能天気も降りてきた。
マスクの泥を払って、息を整えた。
何なんだ? まだ距離は遠いのに、見えているのか?
色欲狂いが大丈夫かと喉を鳴らしてきた。……大丈夫だ。
見えている、というのは多分、間違いないだろう。暗闇に隠れているのも無駄だ。多分、擬態しても無駄なのだ。
だから、悪食は死んだ。
丸見えになっていないと思っていたのかどうか。
はっきり断言は出来ないが。
ここからは地上を走る事にした。手を握って爪を隠し、腕で顔と首を守りながら。
走る。腕に強い衝撃が走る。
骨折くらいはするかもしれない、と言われた。確かに結構痛かった。
でも、それで済んでいる。そして骨折くらいと言われたなら、骨折程度じゃ使い捨てる怪我じゃない。
それに……自分の価値は他の中堅や、多分色欲狂いや能天気よりも上だろう。
かなりの怪我を負ってももしかしたら助けてもらえるかもしれない。
止まらないと知ると、銃弾が今度は足に当たった。衝撃で思い切り転び、咄嗟に転がる。追撃が直前まで居た場所に来ていた。
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