ハーメルン
【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様)
第20話『団体戦決着』
機械のような人間に、人間のような機械。
均衡していた試合が突如として崩れ出した。
「ゲームカウント3—2、柳・柳生リード」
パワーも、スピードも、キャパシティも、更にハルナの能力を駆使すればスキルすら上回る。
しかし、現実はゲームカウントの通り、柳たちが優勢となっている。
戦術(タクティクス)。それが、両ペアの差となって現れたのだった。
「ぬうううう、いけ! バッケンロー!」
「そんな乱暴な攻めでは我々は切り崩せませんよ?」
「うそお、なんで? なんで、返されちゃうの?」
確かに威力はすごい。しかし、単調であるという理由だけで、柳と柳生はプロの強烈なショットをリターンした。
「大丈夫です、ハルナさん! 私がフォローします。仮に返球できたとしても・・・・・」
「仮に返球できたとしても、強烈なショットの威力に押されて態勢が崩れています・・・・か?」
「ッ!?」
「これはダブルスだ。態勢の崩れたパートナーを狙うということは、我々にコースを教えているようなもの」
茶々丸のフォローを読み切った柳がネットへ出て、虚を突いたドロップショットを決める。
「さすが、参謀! 空蝉!」
「ああ。重要なのは情報収集能力でも分析力でもねえ。集めた材料でどうやって相手を料理するかだ」
「相変わらず、あいつと試合するのだけは勘弁願いたいぜよ」
カマイタチ、レーザービーム、ゴルフ打ち。
三つの一撃必殺技を繰り出していこう、完全にゲームの流れを掴んだ柳たちは、徐々に派手な技を繰り出すこともなく、正攻法な攻め方で茶々丸とハルナを圧倒していた。
勝てそうなのに、勝てない。
まるで、崩れない壁を相手にしているような感覚に、茶々丸どころか、いつもはお調子者のハルナもシュンとなっていた。
「どうして? パルと茶々丸の方がすごそうなのに! どうして? どうして勝てないの?」
「そうだよね。確かにカマイタチとかビームとかすごかったけど、そんなに頻繁に使ってないし、大体、万有引力とか大車輪山嵐の方が全然すごそうなのに」
「拙者らの試合を彷彿させるでござるな」
「うむ、あくまで正攻法のテニスで戦っているアル」
高レベルで無駄のないテニス。だが、逆にそれこそが相手にすれば一番崩しにくいものである。
飛びぬけた一撃必殺技を引っ提げる者は、意外とその技さえ攻略すればどうにかなる。
しかし柳たちのように、飛びぬけたものがなくとも全てのステータスに無駄がなく、苦手がない選手を相手にするのは、攻略法がなく、単純な実力で上回るしかない。
さらに、今回は丸井やジャッカルのように、得意技を返球するだけで相手に精神的ダメージを与えるということも通用しない。
どう見てもメンタルの強そうな二人組なのである。
「まるで、F1に乗るペーパードライバーと、F1ドライバーが運転する自家用車の競争だな」
エヴァはこの試合をそう例えた。
ゲーム展開を作り上げ、相手の思考すらも見事に読みとって、自分たちの想定したシナリオ通りに相手をハメる。
その差が顕著に出ているのである。
この差は一つ二つのアドバイスでどうにかできるものではない。
それこそ積み重ねた経験で対処していくものである。
「魔法テニス。言ってしまえば、こちら側のテニスはそう呼べるだろう。しかし、素人の魔法テニスプレーヤーと超一流のテニスプレーヤーの勝負となれば、テニスという点にウェイトが重くなっても仕方のないこと。実際、この団体戦でこちら側の勝者は刹那のみ。その刹那もまた、幼少の頃からテニスの経験もあったということもあり、勝利したにすぎん。やはり、いかに魔法テニスとはいえ、正攻法な魔法テニスでは太刀打ちできんな」
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