ハーメルン
【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様)
第8話『俺様たちも殴り込みだ』
ダブルスの勝敗が決した頃、別の場所でも意外な出来事が起こっていた。
食堂塔の一階フロアは、吹き抜けになっており、室内だけでなく天気がいい時は外で食事もできる、広々とした環境。
しかし今は、
「わったー、久しぶりさー」
「はいでー!」
汗臭く、色黒で、どこか妙な雰囲気の男たちが食堂塔の一階フロアで動き回っていた。
「君たち! 皿の片付けやオーダーを取りに行くスピードが速いのは感心するけど、ところどころにゴーヤを入れたり、ラフテーとか郷土料理を入れるのはやめてくれないかな!」
彼らの働きぶりは見事であり、微妙でもあった。
混雑時ゆえに人手はいくらあっても足りないが、彼らがオーダーを取りに行ったりテーブルに残った皿などを取りに行くのに、『縮地法』という高度な歩法を利用することにより、店内の回転率は非常に早かった。
だが、たまに勝手に沖縄特有の料理を食堂の料理にも混ぜるという行為を行うことが唯一の悩みだった。
そんな彼らの正体は、今年中学テニスにおいて九州ナンバーワンとなり、全国へ殴りこんだ、沖縄県代表の比嘉中学校のレギュラー。
木手英四郎
田仁志慧
甲斐裕次郎
平古場凛
知念寛
五人はボーイのネクタイ着用の制服姿で、麻帆良で働いていたのだった
予想外の人物との再会に真田も少し驚いた。
「どうして、お前たちがここに居る。全国大会の後、全国や世界を放浪。イギリスで別れて以来、また行方不明になったと聞いたが」
「真田クン。よくぞ、聞いてくれました。そう、この夏休みは我々にとって非常に長い旅路でした」
木手は眼鏡の位置を直す。そのレンズの奥の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「全国大会終了後、我々は全国を放浪し、その後に中国へ。中国で厳しい武道の修業を修め、奥義を会得した我々は、アカプルコでは捕らわれの身となった姫を助けるために、死地へと向かいました。山賊を蹴散らし秘法を手に、森の大魔王を倒した我々は、見事姫を救い出しました。・・・ああ、そして、私は姫の熱い口づけを」
「そのくだりはイギリスで聞いた。その後、巡り巡ってイギリスにたどり着き、沖縄に帰れなくなり、ボートレンタルのバイトで旅費を稼いでいたはず。日本には帰ってきたが、沖縄まではまだ帰っていないのか? それとも、まだ旅を続けているのか?」
「いえ。我々もイギリスで皆さんと別れたあと、またトラブルに巻き込まれましてね〜、そのトラブルを解決して日本の麻帆良までようやく帰ってこれたのです。今は、沖縄に帰るための旅費を稼ぐ最後のバイトです」
「トラブルだと?」
木手の説明を、実は真田はあまり真剣に聞いていなかった。
なぜなら、森の大魔王や山賊のくだりで、既に胡散臭いからだ。
同席しているアスナとあやかも同じだった。
この怪しい男が真田と同じ、全国クラスのテニス選手というのは驚いたが、真面目人間の真田と比べて実に嘘くさいと感じたからだ。
だが・・・
「そう、イギリスで皆さんと別れたあと、我々はウェールズに流れ着きました。そこで、妙なストーンヘンジのような場所にたどり着き、突如巻き起こった大発光と巨大な紋章に包まれて、目を覚ましたら魔法世界という未知の世界にたどり着きました!」
「・・・真面目に聞いた俺がバカだっ―――」
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