彼女の舞台とお酒に供する一一杯目
そしてその日からフランドールの最終特訓という名の日常と姉との弾幕ごっこが始まる。
「あははハハははハはははハハハははは!!!」
「ふははははははははは、いいぞフラン!!!」
果たしてこれは何度目の弾幕ごっこであったか。大図書館でのレミリア達との話し合いからはや三日が経過した。
弾幕ごっこの最中にフランドールが高ぶることもあるが、それでも我を忘れることはない。弾幕の威力の調整も、もはや失敗することはない。
「もう大丈夫そうですね」
「えぇ、あとはスペルを作るくらいかしら」
「そのようかと、パチュリー様」
大図書館にて地下室の様子を写す水晶を、涼介と、咲夜、パチュリーの三人が眺めながら話す。
今三人が飲んでいる物は咲夜の淹れた紅茶だ。ここ数日紅魔館では咲夜の淹れる紅茶と、涼介が入れる珈琲が住人達に供されている。
割合的にはやはり紅魔館のメイド長である咲夜の紅茶の割合が多い。
しかし、出張営業という形だけの名目とはいえそれで呼ばれた涼介が住人達に杯を供することもある。
「レミリアさんも最近すこぶる機嫌がいいみたいですね」
「まったく、元気すぎて困りものよ」
「そうですね。日中に外出するくらいですからね」
「えぇ、最近は生活のリズムも変化してきておられます」
「まぁ、その元気さが神社に向いているから、無茶振りされなくて私は楽でいいわ」
パチュリーがけだるさを滲ませそう呟く。咲夜はそれを聞くと主人の行いを否定するのは憚られるのか苦笑いを零すだけだ。
「この前霊夢がきて文句を言われたよ」
「涼介さん、押し付けるような真似をして申し訳ありません」
「構わないよ。自分から申し出たんだ。それに霊夢とは知らない仲ではないからね」
「それより黒白の方よ」
それを聞くと今度は涼介が苦笑いをする。
「あの子は元気だからね」
「元気すぎるわよ」
「もしよろしければ私が追い返しますが?」
「構わないわよ、咲夜。自分で蒔いた種だもの」
パチュリーはあの異変の日から、時折訪ねてくる魔理沙の相手をしている。あの日パチュリーはいつでもかかってこいと取れるような発言をしていた。
そして、魔理沙は本を借りに来る時にパチュリーに挑むのが定番と化してきている。弾幕ごっこでは魔理沙が勝ち越していると言える。
しかし、時折弾幕ごっこの代わりに行われる魔法戦とでもいうべき力の試し合いではパチュリーは負けなしだ。
まだ、パチュリーと魔理沙の間に存在する力の差は圧倒的だ。魔理沙の技量も確実に向上している。全くの門外漢である涼介の目から見てもそれは分かるほどに。
「かわいい弟子という所かな、パチュリー」
「別に、何も教えてないわ。あの子が勝手に学んでいるだけよ」
「ただ見るだけでも勉強になるということですよ」
パチュリーの声はそっけない。確かに、パチュリーが何かを魔理沙に教授することはない。
しかし、魔理沙は今までたった一人で親元を離れ魔法の森で学んでいたのだ。そこに偉大な先達が現れた。
そして、今まで手に入りにくかった魔法関連の書物。それらを得て魔理沙は目に見える成長をする。
魔理沙はもともと努力家だ。それらを助ける環境があるのだ、魔理沙が頑張らない理由は存在しないだろう。
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