第17章 死戦
次元の海。
遊星主を追って流星の如く加速する超人エヴォリュダーとGストーン・サイボーグ。そして、緑の星のラティオ。
凱は魔法を使い飛翔するが、遊星主に追い縋ることができたのは、アストロノーツ時代に習得した知識と技術のおかげであったろう。一方、ルネはもっぱら直感に頼っての飛行だ。
護の場合は、一年に渡り、三重連太陽系で遊星主と戦い続けた経験からか、追跡も手慣れたものである。とは言え、飛行速度は獅子王の二人よりは遅い。
彼らを振り切るかのように、ソール11遊星主はミッドチルダ目指し飛んでいく。
凱はデバイス《ガオーブレス》を起動。
直射型魔法を放つ。
「ブロウクンシューター!」
なのはのアクセルシューターを参考に編み出した砲撃であり、ブロウクンマグナムと同じ破壊力を持つ。さらに、複数に分裂して敵を撃つことも出来、ヴィータのシュワルベフリーベンに近い形態と言えた。
自動追尾機能が設定してあるため、逃れるは困難だ。
「いけっ!」
光の弾丸は遊星主を背後から追い、そして、着弾した。
だが、遊星主に目立ったダメージは見えない。むしろ爆発の衝撃を利用してさらなる加速を得ていた。
遊星主の姿が、一気に遠ざかる。
「しまった……!」
悔やむ凱。分裂したために威力が半減していたのか。
遊星主たちはぐんぐんと、ミッドチルダのある方向へと進んでいく。
凱とルネも負けじと加速を強めた。
「は、早い……!」
護は必死に凱たちに追い縋ろうとした。
そんな彼に、はやての命で地上防衛に向かった艦が接近してきた。
護は艦から、転送で地上に直接降下することを告げられ、同行を願った。
防衛部隊を指揮するシグナムは承知して、護を艦に収容した。部隊は、ミッドチルダの衛星にある転送ポートから、地上に降りる考えであった。
ミッドチルダ軌道上。
そこには、クロノ提督麾下の艦隊が連絡を受けて待ち構えていた。
防御陣形を敷き、遊星主の進撃を阻止せんと、皆が緊張の面持ちで遊星主到来に備えている。
「来ました!」
「敵・遊星主……七体確認!」
「こちらに真っ直ぐ向かって来ます──」
「よし、アルカンシエル、起動準備……」
管理局にすれば《勝利の鍵》に相当する、魔導砲起動に必要なキィを取り出して、クロノが艦隊に指示を与える。
魔導砲アルカンシエルはそもそも単体のみでも強力な武装だ。管理局の保有する兵器のなかでは最も破壊力を秘めたものといえよう。
純粋なる破壊を行うアルカンシエルは、物質そのものを消滅させる。ある意味、管理局にとっては切り札でもある。
滅多な事では使用されぬが、遊星主を倒すため即、許可が下りた。
「遊星主、間もなく射程に入ります!」
パーツキューブに乗った遊星主たちは、円陣を組むかのようなフォーメーションでクラウディア艦隊に接近してきた。
「アルカンシエル、発射!」
まばゆい光が、艦から放出された。
空間の一点に束ねられた光が、遊星主を飲み込もうとする。
──だが。
目前に迫るアルカンシエルの光にピルナスが婉然と微笑んだ。カインは無表情だ。他の遊星主感情のない顔立ちであるが、余裕のようなものが感じられた。
やがて、光が、彼らに直撃した。
「どうだ?」
ほぼ直撃だ。
普通なら、消滅は免れないはず……
「うっ!?」
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