プロローグ
「わしは、わしはなんてことを~。」
ベッドで横たわりながら悩み苦しむ老齢の男性。我らがサタンである。しかしそのサタンも歳には勝てず、若い頃の筋骨隆々であった体も痩せこけ、自慢のアフロヘアーも見る影もなくなっていた。
また、見た目だけではなく、年により気が弱くなり日毎にサタンの悩み事は深くなっていた。
「ハア~わしは…。」
今日これで何回目のため息だろうか、2桁いや3桁であろう、それが吐き出された瞬間誰かが部屋に入ってきた。
「サタン大丈夫か?」
大きな体と大きな腹をして、人間とは思えないピンク色の肌、頭には触角を生やし男?ミスターブウがやって来た。
「サタンが元気ないとみんな心配していた。俺も心配だ。何でも言え。俺がなんとかしてやる。」
「ブウさ~~ん。」
ブウの温かみのある言葉にサタンは感激の涙を流しながら、悩みをブウに明かすことにした。
「実は………」――――
「なんだそんなことに悩んでいたのか。」
「そんなことってのはないでしょブウさん。」
涙を流し、言葉をつまらせながら話した話を〈そんなこと〉で切り捨てられたサタンはブウに文句を言う。
「俺に任せておけ。」
ブウは自信に満ちた表情で胸を拳で叩き、サタンにそういうや否やベランダに通じる窓を突き破り空の彼方に飛翔して行った。
サタンは割れた窓ガラスを茫然と見ているしかなかった。
――――
「パパ気分はどう?」
「義父さん御加減はいかがですか?」
「おじいちゃん体は大丈夫?」召し使いからサタンがこの頃元気がなく、窶れたという連絡がきたことにより、娘のビーデルが夫の悟飯と娘のパンを連れて見舞にやって来た。
「おおビーデル、悟飯君それにパンちゃんも、皆の顔を見たら元気が出てきたぞ。」
口ではそう言ってはいるが、明らかに弱っていることが分かり、皆は一同に胸を痛めた。
ただサタンが自分達を気遣ってくれとの行動であることは明白であるので、サタンに付き合うことにした。
二時間程楽しく話をしたあとにビーデルが気付いたことをサタンに聞く。
「そういえば今日はブウさんはいないの?」
いつもならばサタンと一緒にいることが多いブウがいないことを不思議に思ってのことである。
「ああ、ブウさんはちょっと外出していてな…」
明らかに口ごもる「サタンに喧嘩でもしたのかしら」と思いながら、突っ込んではならないと感じそれ以上は聞くことはなかった。
その後にも長い間歓談しビーデル達はサタンに「泊まっていったらどうだ?」と言われながらも、明日も仕事や学校があるからと言ってすまなそうに「また近いうちに来ます。」と言って帰っていった。その日は食事の時間になってもブウは帰ってくることはなかったのでサタンは「ブウさんなら大丈夫。」とは思いながらも、不安な夜を過ごした。
――――
翌日早朝少し汚れながらもブウは何かを持って帰ってきた。
「サタン帰ってきたぞ。」
「ブウさん心配してたんですよ。どこに行っていたんですか?えっとそれは?」
捲し立てるサタンにブウは持っていた物を自慢気に見せる。
「ドラゴンボールだ。」
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