depth.11さとりとお月見
……静寂が支配するとかよく聞きましたけど生き物がいる状態で静寂なんて絶対支配すること出来ないんですよ。
寝息と言い寝相といい。活発な子はこうも悪くなるのでしょうか…
ルーミアさんも相当寝相悪いんですよね。最終的に元の体勢に戻るからいいんですけど。
結局泊まっていくことになってしまった私は妹紅の隣に布団を用意された。
高待遇なのか親バカなのか…不用心なのには変わりない気がします。
妹紅は一緒に寝たがっていましたが、残念ながら私は寝ることができない。
体質的な意味ではなく、万が一に備えてのことである。
だって寝込みを襲われるとか嫌ですもん。
そんなわけで妹紅の寝息をBGMに数時間ほど待機しているのだ。
まあそれ以外にも外でなにやら騒ぎが起こっているみたいなんですよね。
結構遠いですけど妖力と陰陽道の力が入り混じって流れてきてます。
数時間前から一体誰が戦ってるのでしょう。
それにこんな時間まで戦うってことは相当なものだろう。
戦いの火がこっちに来ない事を切実に願うまでです。
「……」
こうして何をするまでもなく思考を弄んでいると色々と考えたくなってしまう。
ほとんどがロクでもない事ばかりなのだが、中には重要な事を考える。多分…
竹取はあの人が月の使者を皆殺しにし、輝夜と一緒に逃亡するって言うのが私の知るストーリーだ。
ただ、私と言う存在がいる為本当にそのような感じに事が進むかどうかはわからない。
輝夜は来るって言ってたけど…
来なかった時も想定して仕掛けは作っておくべきでしょう。
どこまで通用するかわかりませんがね。
うん、そろそろ屋敷の人も当直の見張り以外は全員寝たのかな。
いつの間にか人の生活する音が聞こえなくなり、屋敷全体が寝静まっている感覚になる。
それじゃあ一回抜け出しますか。
幸いにもここに陰陽師の類はいない。
さっきから戦闘してるであろう妖怪さんのところにでも行ってるのでしょうか。
部屋にあった窓から外へ抜け出る。
続いて妖怪ボディにものを言わせた超脚で塀を飛び越える。
一瞬だけ妖怪として察知されやすい状態になってしまったわけだが、別に近くに察知できる様なヒトたちはいない。
だからと言って出しっ放しっていうのはダメですよ。
ある程度のところまでは歩いて離れる。
どうせなら森の中に入れば色々楽なのだが、近くに森はない。
そろそろ良いだろうと後ろを振り返る。屋敷は手のひら大の大きさになっており新月から一晩くらいしか経ってない夜の月明かりじゃここまでは見通せないでしょう。
私は夜目が効きますから。
地面を軽くけるように一歩を踏み出す。第三者から見ればスキップに近いでしょう。
ふわりと浮き上がった体の向きを変え家の方に向かって飛んでいく。
遠くで何かが煌めいているがきっと誰かが戦っているのでしょう。
見に行ってもいいんですけど今は時間が惜しいので諦めます。
道を歩けは半刻かかってしまう道のりでも飛んでいけば結構早い。
十数分もすれば家の上空にたどり着くことができた。
灯りが灯っていないということは寝ているのか何かあったのか。まあ大体は前者だと思いますけどね。
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