ハーメルン
古明地さとりは覚り妖怪である
番外編「とある時代のとある覚妖怪」

空を飛びたい。


そう思ったのはいつだったのだろう。

見上げればいつも空はそこにあった。
地上のゴタゴタは知らんと言わんばかりに…ただ青く全てを受け入れてくれそうなほど…透き通っていた。

だから私は空が飛びたかった。
使い方もよくわからない力で一生懸命空中に滞空しようとして…何度も失敗した。

誰かに教えを乞うことは出来ない。
いや…させてくれるはずもなかった。

故に私はまだ空を飛べない。本来ならとっくに飛べるようになっていなけれればならないのに…生き残る術さえ教えてくれる人はいなかった。

心が読める…ただそれだけ。たったそれだけで存在事態が罪と言われるなら私はそんな世の中が嫌いだ。
なのにそんな世の中が…どうしてこう……美しく見えてしまうのか…





















「何か騒がしいですね」

(そうだねえ)

都での一件が終わりこれから何をしようか考えながら日本海側をのんびり旅していた時の事でした。

周辺がやけに騒がしい。
騒がしいといっても音とかそう言うのではなく…妖力による気流の乱れとか…そういった類の騒がしさです。
「お燐、どこが騒がしいのかわかりますか?」

(ちょっと待って……あっちだ)

お燐の耳がぴょこぴょこ動き、すぐに方向を察知する。
こう言うのは動物の方が鋭い。おかげで私が気づくよりも先にいろんなことを教えてくれる。
頼りになります。

迷わずそっちの方に足を向ける。野次馬とかそう言うわけではなくて…少し耳障りな…悲鳴のようなものも時折サードアイがキャッチしてるので、気になった次第です。






三人の妖怪…種族はわかりませんがおそらく狼かそこらへんの…人達が一人の少女を蹴飛ばしていた。
服は元からボロボロだったのか…布切れ状態になっている上に相当生活環境が悪いのかブロンズシルバーの髪の毛や肌もひどい状態だ。
正直あいつらによる攻撃でできたものではないさそうな傷も遠目ではあるが見受けられる。
その少女の体には私と同じコードと…そして髪の毛と同じ色のサードアイが巻きついていた。


同じさとり妖怪…
その心は、悲しみと憎悪によって膨れ上がっていた。
あのままでは精神が壊れてしまいます。なんとしてでも助けないと…

「ちょっと、何してるんですか」

「ああ?見ねえ顔だな」

「ああ?なんだこのガキ?」
知能は低くなさそうですけど…馬鹿なのでしょうか。

ああ、私の事をただの少女と思ってくれてるならそれはそれで良いんですけどね。
「三人がかりとは……ゴミクズでもそんなことしませんよ?」

「ああ⁉︎てめえ、なんて言った?」
短気はいけませんよ。周りが見えなくなれば戦いには負けるんです。もっと言ってしまうなら戦う前から勝敗は決してます。

こっそりと心を読む。

罪悪感のかけらもない。あるのは、さとり妖怪に対しての嫌悪感とストレス発散の為にこうしていることへの快楽。
まるで私達がこうされるのは当たり前とでも言いたげなものだった。

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