ハーメルン
古明地さとりは覚り妖怪である
番外編 さとり様のイウトウリ


「えっと…これを私に?」

「ええ、そうですよ」

大妖精の目が大きく開き、表情が開花する。そんなに喜んでもらえるとこちらも嬉しいです。

微笑ましい目線を向けていると急に大妖精が服を脱ぎ始めた。
突然のことでこいしがあわて始める。こいしが慌てるのもなんだか新鮮…
「ちょっと何してるの⁉︎」

「え…着替えようかと」

まさかのここで着替えるなんて大胆な…って少しバストが大きいですね。
もうちょっと大きめの服を持ってきたほうがよかったでしょうか…

「お姉ちゃんどうでもいいこと考えてないで止めてよ!」

「落ち着きなさいこいし。大妖精用の服を作るんだからある程度体格データは取っておきたいのよ」

「いやいや、あとでちゃんと計算すればいいじゃん!」

それもそうでしたね。すっかり失念してました。それじゃあ巻尺っと…

「あの…もう着替え終わったんですけど…」

あれ?早くないですか…って帯巻いてないじゃないですか。
ダメですよそんなだらしない格好で……

帯を巻いて後ろでしっかり結ぶ。
胸下が締められ胸の大きさが余計に強調される。心なしか黒い気配が漂っているような気がしますが…気のせいですよね。

「苦しくないですか?」

「大丈夫です…」

ちょっとこいし!そのハンマーは一体何⁉︎あ、ちょ…やね!痛いってば!叩かないで!





「なるほど…強くなりたくて…ですか」

あの後暴れるこいしを取り押さえてなんとか落ち着いたところで大妖精を尋問…というかここに来た理由を問いただす。

「はい…あの、さとりさんすごく強いじゃないですか。あと頭良いですし」

うーん…なんでそんなふうに思われているのでしょうか。大妖精の前では戦ったことなどないですし…むしろこいしのほうが適任な気がします。

「あの…私より強くて頭いい人は沢山いると思うんですけど…良ければ天狗に紹介状出しますよ?」

柳君ならすごい適任だと思います。向こうの都合を考えればあまり無理は言えませんが…

「さとりさんが良いです!お願いします」

どうしたのでしょう…別に私自身は構いませんが…稽古をつけるのでしたら一応知らせておかないといけないですからね…


「……貴女には私の種族はまだ言ってませんでしたね」

コートの内側からサードアイを引き出す。一瞬だけ視線が泳いだものの心の中では嫌悪しているわけではいようだ。
サードアイを見せるだけで忌避する人が大半なので正直有難い反応です。

「……そうでしたね。でも、私は気にしませんよ?」
その心に嘘偽りはない。

「例え覚妖怪だったとしてもですか?」

「だって…さとりさんは悪いヒトじゃ無いじゃないですか」

それは本心か虚心か…聞くのは愚問。それに強くなりたい理由も分かってきた。こういう時に便利ですね。この能力は…

「……分かったわ。それじゃあ、大ちゃん。早速だけど始めよっか」

いつもの口調…と言うかは私の素の口調が出る。

「妖精ってまずどんなことができますか?」

「えっと……そうですね。いろいろと…」

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