depth2.さとりはマイペースだと自覚している?
多少強いとはいえそこらへんの獣より少し強い程度だ。
やはり姉妹なのだからそのうち来るのだろうか…そこらへんはまだ分からない。と言うかもう3年目になるのに分からないことだらけなのはどうしたものか…
考えても答えが出てくるわけではない問いだったわね。
行き詰まった思考を切り捨て一拍。
それにあまりグズグズしていると豊聡耳さん拝めずに終わっちゃいます。
まぁ、1400年も経てばまた会えるんですけど…折角ですし生前の姿でも見て行こうかな…
そうだ!今からでも遅くないっていうか近くにいるではないですか!よし、見に行こう。
うん!一目拝むくらい許してくれますよね
さてーお寺とはいえ一応国のトップがいるのだからそりゃ警備は厳しい。一応正面から入れることは入れたがここから私が妖怪だとバレないように確実に斑鳩宮まで行くのはかなり大変だ。
幸いにも日が陰ってきたので視界は悪い。
もう少し暗くなるまで隠れながら警備の動向でも探るとしましょうか。
それにしても…ここはまだ殺伐としている。記憶にある法隆寺とは違う。その記憶も本当のものなのかどうか判断に迷うところがありますが…
まぁ仕方ないか。五重塔とか建築中だし色々まだ造ってる最中だしね。
斑鳩宮には一応潜入できたことは出来た。もちろん室内ではなく庭にだが…
周りに人の気配は無い。それでも縁側からは丸見えの位置に当たるのだろうか……丁度いい感じの木の陰に隠れて様子見である。
とは言ってもあたりはすっかり闇に包まれ縁側奥の襖から漏れるロウソクの光が僅かに照らすばかりだ。見つかる確率は低い。
ここまで来てあれだが…流石に中に入るのは無理かな…柱とか張りにこれ見よがしに術式が組んである。
絶対に触ったらダメなやつだし近づいてもだめなやつだ。
うーん…少し待ちますか。
一応待ってみて数十分…何やら建物内に動きがあった。
うまくは言えないが何かが急に動いた感じだ。
ゆったりとした足取りで縁側に向かってくる。人…にしては小さい。ペットだろうか。
やがてその小動物は縁側へ出てきた。
おや?猫ですか…ってあの猫!
同居猫…何故ここに?抜け駆けでもしてるんですか⁉︎
ずるいですよなんでここに来るって言わないんですか!って言ってもなんで言う必要があるんだとか言いそうですけど。
そんなことをちらほら考えていると猫と目があった。
(あ……)
向こうもこっちに気づいたみたいです。動物の目は伊達じゃないようです。
「どうしたのじゃ〜?そっちに何かあるのか〜?」
ちょっと待ってください!何連れて来てるんですか⁉︎見つかったらいろいろ不味いですから!
猫に気をとられ過ぎていて気づかなかった。いや、それ以前にあっちは気配が殆ど無かった。
私の考えを察したのか猫は直ぐに襖を開けて中に入る。だが一歩遅かったようだ。いや、こっちに来てた相手が相手だ。バレてもしょうがない。
私とほぼ同じくらいの身長。長く伸び後ろでまとめられた灰色の髪。
幼そうな見た目なのに持ってる風格は何十年と生きて来たような雰囲気を放つ。
[9]前 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:2/10
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク