ハーメルン
古明地さとりは覚り妖怪である
depth4.だからさとりは危ない


こんな思考をするあたりそろそろどっちか決めなければならない。

さて、私に渡された選択権は二つ。ここで人を捨てて妖怪となるか、はたまた人として生きるか。

楽な方は圧倒的に妖怪であろう。
なら…私はどっちを選ぶのだろう。




……いや、ここまできた時点で大体わかり切ってることだ。




「……出来ますよ。寺どころかこの街全体の注意を引くことも可能です」

だから私は振り返らずにそう答える。


かなり博打的ではありますけど…

その一言は心の中に留めておく。そんな情報は教える必要がない。
もしもの時は私がやられるだけだ。実質彼女達への注意は外らせる。

「なら…お願いできるかしら」

「ええ、任せてください」

彼女の安堵した感情が背中に当たる。
それを受け止めながら私はその店を出る。




結局私は人を捨てることが出来なかった。おそらくこの先も何があろうと私の中の人が殺されない限りずっと私は人でありたい。

それこそ自分勝手なエゴであろう。ただ、今はまだそのエゴを押し通しても良いのかもしれない。

少なくともいつか出来る幻想郷までは…人でありたい。


行き交う人々にまぎれ込みながら私はいつも通りに自分の寝床に戻る。









そう言えばお湯頼んだのに結局もらわなかったな。

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