ハーメルン
古明地さとりは覚り妖怪である
depth5.さとりは狩りが得意なのか

新月というのは妖怪にとっても人間にとってもあまり喜ばれたものではない。

月からの力を借りるような妖怪は弱体化が著しいし、新月では月明かりが無く並みの妖怪でも視界が悪い。

しかし、だからこそそんな宵闇を得意とする妖怪もいるものだ。
ガサガサと音を立てて必死に走る獣の様な妖怪も、元々は新月を利用して狩る奴だった。




なぜだなぜだなぜだ……


其の獣は逃げ続けていた。

ただ闇雲に背後からゆっくりと…けれど確実に近づく恐怖から少しでも距離を取ろうと無駄だとわかっていながらも走り続ける。


どうしてこうなったのか…荒い呼吸を繰り返しながら何度も後悔をする。

既に獣を庇ったり慰めたりしてくれる仲間は周りにはいない。
全部アレによって一瞬で散っていった。
あるものは眉間に穴を開けられ、あるものは胴体から血を吹き出しまたあるものは…頭がいきなり砕け散り脳漿をぶちまけて倒れた。

ガサガサと後ろから迫って来る音がする。

獣にとってはそれは死神の鎌なんて生優しいものではない。

言ってみればそれは恐怖の塊。自分では理解する事すら出来ず、理解しようとした途端に自らの存在は狂わされ襲われ地獄よりも恐ろしい結果になる。存在を知っただけでも迂闊に近づいてはいけない。向こうが存在に気づいた瞬間には既にこの世にはいないのだから……



どうしてあんなものに手を出そうとしてしまったのだろうか。

群の長として…そして獣自身として激しく後悔をする。


獣はここら辺ではかなり大きな群れの長だった。

別に最初から大きかったわけではなく、だんだんと仲間が増えていったという感じだ。
そこそこには上手くやっていたのでは無いだろうか。

その日もいつものようにのこのこと山に入り込んできた少女を捕食しようと行動を起こしておいた。


それが今やこの有様だ。

仲間を失い自分が今や追われる身になってしまっている。

化け物め……

一瞬にして仲間を葬り去り今も後ろから追いかけ続ける少女に悪態を吐く。

だが、それもつかの間の出来事である。





ザシュッ……





山に静かにひびいたその音を其の獣が理解する事は一生ないだろう。
何故なら、そのコンマ数秒後には既に一生を終えているのだから。


何か大きめのものが落ちる音と少し遅れて何かが倒れる音が立て続けに起こり…再び周りには静寂がともる。

其の静寂の中に、三日月型に歪んだ笑顔と怪しくひかる三つの目が浮かび上り誰にも気づかれぬうちに消えていった。








…これで6匹目

私は早急に必要になってしまった妖力を集めるためこうやって何匹も妖怪を狩り続けている。今日で4日目…何十匹殺しただろうか…

殺すのは簡単だ。
小石を妖力でコーティングし指で弾く。たったそれだけ。

妖怪の馬鹿力で音速の二倍…銃弾と変わらぬ威力で小石が吹っ飛び
当たった相手の身体に大穴を開ける。

全く…本当に恐ろしいものを考えついてしまったものです。

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