ハーメルン
古明地さとりは覚り妖怪である
depth7.さとりと鬼と少しの戦い

目の前に鬼がいた時ほどこの世界を恨んだことはない。

青鬼ならまだ逃げようって気も起きますけど赤鬼はやめてください…赤いのはダメなんです。心理的に…ええ、赤いのは苦手です。ですので紅魔館なんてところに招待されても絶対いきません。

え?サードアイは赤い?そっちは許容範囲です。要は威圧感を出さない程度に落ち着いた赤ならいいんです。

はて?おかしいでしょうか?
別に今回は色なんてあまり問題はないんです。逃げる気が起きるか逃げる選択肢を完全に捨てさせるかの些細な違いですから。


問題は鬼の姿…これがまだ勇儀とか茨木とか萃香みたいに人型になってくれているのならまだ理解できますよ。
なんで金棒持ってボディビルダーみたいな姿でいるんですか…威圧感半端ないですよ…逃げたい。って言うかパンツ普通に鬼柄なんですね。それどうやって作ってんだろ…

と言うか本当に鬼って書物に描かれたみたいな感じの姿だったんだ…なんか親近感湧くのです。

思考とは裏腹に体は震えているし今すぐ逃げたいけど。
心臓バクバクなんですけど…

「あの…相手が完全に臆してますよ」

な…ナイスだ!柳くん!この威圧をどうにかしてくれ…頼みます!

「ああ?悪い悪い…変わった妖怪だとかいろいろ聞いてたからさ。こっちの姿で挑んだ方が良かったかと思って」

なんですかいその理屈。


「ちょっと待ちな。すぐ戻るから」

私が瞬きをした瞬間だった。あんなに大きかった鬼の姿が一瞬にして私と同じくらいの背丈の少女になっていた。そんな体とは不釣合な二本のツノが鬼をかろうじて連想させてくれる。抑えてくれているのか少しずつ威圧が消えていく。

一回瞬きした合間に何が?
考えても答えは出てこない。仕方ないのでこのことは今後の研究課題として取っておこう。

「……で、なんで人里とかで一般的に目にする姿と酷似させたものにしたんですかね?」

何気なく聞いた。正直私自身もだいぶ混乱していたり慌てたりで何気なくなってないのだが。

「なんか人が想像する恐ろしい鬼ってのをやってみたくてね」
どうやらその姿では声すらも変わるらしい…まあそれはそうか。

イメージの具現を行う練習だったということでしょうか。
と言うことはこの時点で人間は鬼をあんな感じに見ていたのか…あれ?それならこの鬼は人前にこの姿で現れた可能性があってそしたらさっきみたいに試したいとかそういう感情は起きないわけで……

うん?思考がこんがらがってきましたね。
要はその姿を人がイメージするきっかけがあったかもしれないがそれを鬼は自覚していない。または人間が恐れる鬼はまた別に存在するのか…


余談ではあるが鬼は「悪」から「善」や「神」まで多様な現れ方をしており、特定のイメージで語ることは困難。単純に悪者、とはできない。ただ怖ろしく、力強く、超人的のイメージは共通らしい。
実際文献書物を見ても鬼は姿が見えない超的存在だったり暴れていたり、女性だったり時代や土地によってバラバラ。
だからなのか今みたいに複数の姿を持つことが出来るのだろう。

なら私はなぜこの姿固定なのか…
人のイメージで姿が変わってくるなら私の姿はもっと毛むくじゃらの巨人みたいなやつだったりよくわかんないナニカだったりするわけでも良いものなのですが…

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