ハーメルン
古明地さとりは覚り妖怪である
depth8.続、さとりと鬼と少しの戦い

季節が変わるのは早いもので紅葉の時期ももう終わりに近づいている。

宴会が行われてから数日、特になんだと言うことは無く平穏な日々を過ごしている。
と言うより、完全に私が家から出てないだけである。

原因は分かっている。

異常に寒いのだ。最近一気に気温が下がったせいで寒くて仕方ないのだ。
特に朝晩の冷え込みが酷い。
だからなのか昨日なんて夜通し囲炉裏のところで暖をとりっぱなしでした。

「今年は寒波でも来てるんですかねえ…」

私の声に反応するかのようにパチパチと囲炉裏の中で火花が跳ねる。

少なくとも前まではこんなことは無かった。
そりゃここに来てから日が浅いのでこう言うこともあるのかと最初は思いましたがそう言うわけでも無いみたいです。

里の人たちもこの寒波は想定していなかったらしく冬支度が間に合わないだとかなんだとか言って結構ざわついていた。

膝の上でもぞもぞと黒い毛玉が動き出した。
二股に別れてきた尻尾がゆっくりと私の腕を撫でる。
結構くすぐったい。

(せっかく晴れたんだし外に出たらどうだい?)

「そうですね…晴れているのなら、昨日よりはマシでしょうか」

うん…せめて山で色々と採取しないと来年が辛いってことだけは言えます。

思い立ったら直ぐに動くことにしよう。
囲炉裏の上であっためておいたコートを羽織りサードアイを内側に装備した袋に入れるように隠す。
前回茨木さんに少しだけ見えたと言われたので隠す専用に新たに袋を追加するなど改良を施していた。
まあこれも家から出られなかった原因でもあったのですが…

(ふーん…じゃあ留守は守っておくよ)

「お願いね」

一応の為に火を消しておく。この時代火事なんて起こしたら本当に大変なことになってしまいますから。

今度火消し用の消火装置でも作ろうかな…

うーん…この時代の装備でできるのもなんて限られるからなあ…河童の技術を頼ろうにも里の人がそれを認めてくれるとは思わないし

開発意欲に駆られながら冷気が隙間から放たれる玄関の扉をゆっくりと開けた。

ビュゥッと扉で止められていた冷気が流れ込み私の体を包み込む。

体が一瞬震える。
まだ日の登り切ってない里の通りは人もまばらで静かであった。
唯一する音と言えば風のなびく音か時より見かける人の足音くらい。完全に別次元のような感覚に陥る。
そんな通りをどんどん進み里の出入り口に行く。


この里の周囲は一応妖怪避けの結界を張っている。その為ちゃんと正規ルートを通らなければ里に入ることはできない。

入ろうとしても同じところをぐるぐる回るだけでものすごい空間が捻れてるのかと思った。
実際には思考の一部が結界に干渉されて方向転換させられているだけだったのだが……

まあ正規のルートで入ったなら大暴れしなければ大丈夫と言う、なんとも妖怪に寛容な里なのだと思う。

寛容なのと恐れないのは全く別の感情であるのだが…

里の出入り口で手続きを済ませ山に向かう。

ある程度進んだところで周囲を確認。周りに誰もいないことを確認し飛び上がる。

高度を上げていくと山に隠された太陽が顔を覗かせ眩しい光が視界を包む。

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