第6話 なんですか? コレ
新入部員のパートが決まり、部の目標が決まり、やっとのことで練習が始まる。まあ、まだ1年生への説明が多いとは思うが。
そして同時並行で2,3年はサンフェスに向けて練習を行わなくてはならない。
「サンフェスか~」
「外歩くの案外きついんですよね」
「サンフェスって何ですか?」
ナイスクエスチョン。さてここは俺が
「説明しよう。サンフェスとはサンライズフェスティバルの略であり、ここいらの高校の吹奏楽部が太陽公園に集まってパレードを行う。外を練り歩くから俺たちはいつもと使う楽器が少し異なり、肩が凝る……。あ、初心者の1年生と一部の楽器の人はポンポンを持って歩く。質問はあるかね?」
「なんで普段説明とかめんどくさがるのに今回ノリノリなんだよ」
「ナックル、シャーラップ! 一回やってみたかったんだよ。説明しよう! ってやつ。元祖はヤッターマンらしいぞ。諸説はあるが」
「今年パーカスに入った1年生は2人とも経験者だから、ポンポンをもって歩くことはないですね。ところで楽譜って決まってるんですか?」
「おう。さっきもらった。今年は『ライディーン』だ」
楽譜をばらっと渡す。初心者がいないから楽チンだ。どこぞの幼馴染みたく楽曲解説でもしておこう。
ライディーンは1980年にYMOが発表した楽曲。元々の曲名は『雷電』だったが、なんやかんやあって『ライディーン』にしようってなって『ライディーン』になった。細かく知りたい人はwikiを見てくれ。
「それじゃ始めよう。滝先生から指示とか出てるの?」
「合奏できるクオリティになったら集まってください、だそうだ。まあ俺らにある時間は多く見積もって1週間ってとこだし、その間に大方仕上げるか」
「相変わらずさらっとそういうこと言うのな」
「いつものことだろ。あー、順菜、万紗子他のパートのことは1週間気にしないように。いいな」
「は、はい」
他のパートと比べて文句言われたくねえし、悪影響受けられても困るからこう言っておくのが得策だろう。
さて、あの3人はどうしているかな。あすかと香織はあんま問題ないだろ。香織ん所には信者がいるし、あすかに至っては気にする必要がないまである。それあるーって多分部員全員から共感得られるぞ。3人は、とか言っときながら実質晴香の心配しかしてねえ。過保護だなー俺。ま、あれでも部長だし協力してくれる人はいるから大丈夫か。
―――――――――――――――――――――――
1週間後――
滝先生の指揮はいったいどんなものなんだろう。そんな疑問を抱いたまま合奏当日を迎えた。正面の台に上がった先生が柔らかい笑みを携え、ゆっくりと口を開く。
「今日が初めての合奏ですね。皆さん、私の言った指示通り練習してきてくれたことと思います。それでは、まずはチューニングをしましょうか」
パーカスにとっちゃいささか退屈なチューニングと基礎練習が終わり、ようやく『ライディーン』が始まる。どうでもいいが、滝先生は指揮棒を使わずに指揮をするタイプらしい。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク