第1話 俺と世界
インターネット小説で転生オリ主なんてジャンルが流行っていたのはご存知だろうか。
俺の前世では大流行していて、みんなこぞって超ハイスペックなオリ主を二次創作の主人公にして原作世界を引っ掻き回させていた。
どうも転生してきたこの世界でも流行っているようだが、俺はまだ小学生でこの世界のアニメや漫画にそこまで詳しいわけじゃないから二次創作というもの自体を楽しめずにいるのだ。
「お前もオリ主じゃないのか」って?そんな事は俺にもわからない。
どうも俺の知っている日本の1990年代辺りに転生したのだという事はわかった。
でも俺が今まで出会った人達には元の世界で知っていたゲームやアニメにいたような人はいないし、魔法も使えなきゃ超能力研究をしている学園都市もないのだ。
更に言えば俺は転生者でチート持ちといえども、よくものの話にあるような華のあるチートとは無縁だった。
頭の出来は前世と同じぐらい、つまり普通。
ルックスは塩顔系で十人並み、ついでに言えば座高が高い。
運動神経はクラスで真ん中より少し上ぐらいではあるが、クラスで1番運動が得意な奴だってサッカーのクラブチームの中じゃ補欠らしい。
聖剣も呼び出せなきゃ動物と喋れるわけでもなく、もちろん念動力も使えない。
そんな俺のチートは料理だった、ザ・地味チートだ。
異世界召喚物だと王様に城から追い出されて店を持つために四苦八苦しながら冒険者とかをやるタイプだな。
奇想天外な料理のアイデアがどんどん湧いてくるっていう漫画の主人公タイプの力じゃなくて、えげつないぐらい美味いカレーとかラーメンとかを作れるようになるってタイプ。
やっぱりちょっと地味だ。
でも金持ちのコックとかになれば一生食いっぱぐれる事はないと思うし、自分で自分の飯作っててもなんだかんだ幸せ。
俺はこの地味で使い勝手のいいチートを結構気に入っていた。
ちなみに名前もつけた。
『ゴールデンクィジーン』だ。
つまりは黄金比(ゴールデンレイシオ)の料理、金になる料理、純金と見まごうかのような料理、色々とかかっているわけだ。
この名前は二度と出てこないだろうから覚えなくてもいい。
まぁ名前をつけちゃうぐらい気に入ってるって事だ、俺はラッキーな転生をしたと思う。
そんな地味にチートな俺だが、家族はさらにとんでもなかった。
まさにチート全開の超一芸集団の集まりで、最初はこいつら全員頭おかしいって思ったね。
まず女子高生の姉は超絶美人の上にプロポーションも完璧。
結構でかい事務所に所属してるモデルらしい、電車乗る時に姉のポスターが貼ってあるとドキッとするね。
超綺麗だけどいわゆる家事のできない女だというのと、若干厨二病気味で友達が少ないのが欠点だ。
次に兄、兄貴はもう成人していて医者になるために医大に通っている。
顔は俺に似てて普通、海外なら10歳で大学卒業できるレベルで勉強ができるんだけど、どうにもバカでよく婆ちゃんにゲンコツを落とされてる。
最後の兄弟は妹、妹は生まれた時からの超フィジカルエリートで4歳の頃に俺のママチャリのフレームを素手で捻じ曲げた事がある。
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