【第5話】異世界の駆逐艦・後編
「それで、その電磁何とかって……。何ですか?」
「電磁気火薬複合速射砲の事ですか。装薬で撃ち出された砲弾をローレンツ力によって追加加速させる、火薬と電磁気のハイブリッド式速射砲です。何らかの原因で電力の供給が不足したり途絶えたとしても、威力は激減しますが通常の砲として使用することが可能で、その場合はそのまま七〇口径・二八〇ミリ砲として機能します」
「何だか私にはよくわかりませんが、凄い物なんですね……」
「速射砲、ってことは……連射が効くの?」
「えぇ。通常時では毎分四〇発、必要電力量が増大するので極短時間ではありますが……最大で毎分六〇発の射撃が可能です」
「ま、毎分六〇発!?」
「戦艦の主砲弾レベルの砲撃を一秒に一発って……金剛さんの主砲の四五口径・三六センチ砲ですら毎分一・五発、単純計算でその四〇倍って、流石に冗談でしょ!?」
「……事実です。更に舷側の副砲には六五口径・五七ミリ、単装の同じく電磁気火薬複合速射砲を両舷に四基ずつ計八門。これは主に対空用ですね。威力は凡そ七〇口径・八八ミリ砲と同等で、連射速度は通常時で毎分九〇発。無理をすれば短時間ではありますが、こちらも毎分一百十五発まで射撃できますよ」
「こっちもこっちで凄まじいのです」
「対空用にその火力はちょっと過剰じゃ無いですか……?」
「私からも質問。艦橋の中央のアレはガトリング砲、よね? その上に乗ってる箱は何ですか?」
「あれは個艦防御用の近接防御火器システムで“パラシ”と言います。一門あたり毎分四千〜六千発の発射速度を持つ三〇ミリ・ガトリング砲を二門。上の箱は弾倉とレーダーユニットを兼ねていて、更にその横の筒状の物は短距離対空ミサイルの発射筒です、それが計八基ですね。それらを全て組み合わせて一つのシステムとして構成されています」
「その対空ミサイル、って?」
「そうですね……敢えて無理矢理日本語に直すのであれば、対空誘導噴式弾といったところでしょうか。対空用のロケットに自動追尾機能が備わったものと考えていただければ」
「誘導噴式弾、こんなものが敵にあったら……」
「別に珍しいものじゃないですよ。そもそも私の主兵装は、本来砲ではなくミサイルですから」
「ほ、他にもあるのか?」
「勿論です。対空用のスタンダードとシースパロー、対潜水艦用のアスロック、対地対艦用のタクティカル・トマホーク。後は敵の電子機器を妨害する電子撹乱ミサイルと、弾頭にポリ窒素火薬を用いて大爆発を起こす多用途炸裂弾頭ミサイル。この五種類ですね」
「ちなみになんだが……そのミサイルってのは、射程はどんくらいあるんだ?」
「物にもよりますが、基本的に射程は総じて30kmから150km程度ですね」
「も、もう何を聞いても驚かないにゃ……」
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