ハーメルン
真・恋姫†無双 北郷警備隊副長
第十一話




学生君、改め『北郷一刀』から事情を聴くと状況的には俺と同じだった。ただ俺と違う場所に居て、いきなり野盗に襲われたのを三人の女の子に助けられたらしい。真名の存在もそこで知ったらしいが迂闊にもそこで、助けてくれた三人の内の一人の真名を口にしてしまい刺され掛けたとか。
そして謝罪の後に曹操の軍に拾われて未来の事もそこで話し、未来の知識を買われて今に至るとの事。今は街の警備隊の仕事をしてるらしい。

それに対して俺は荀彧を助けてから荀家に居候して、武術の鍛練や読み書きの教えを受けたりと一刀と比べると楽々としてたんだなぁ……
因みに俺、一刀、そして曹操は皆と少し離れた位置で話をして居た。天の国=未来の話になる訳だが流石に天の御使いが未来人と広めるのはマズいとの判断だった。


「………そう」


一通り話を終えた俺だが曹操は顎に指を這わせて何かを考える仕草をしている。美少女は悩む仕草も様になってるなぁ。


「貴方……名は?」
「秋月純一。字と真名は無い」


曹操の問いに答える俺。そして次の曹操の言葉は意外な言葉だった。


「あなた、私に仕えなさい」
「はい?」


いきなりのスカウトに俺は呆けてしまう。いや、会って数分で曹操にスカウトされるってどんな状況よ!?


「アナタは北郷一刀と同じく、天の国の住人……そんな奴が野放しになってるのは危険なのよ」
「二天は要らず……ってか?」


曹操は俺に試す様な視線をぶつけてきている。『天』を名乗るものが多く現れてはその意味が薄くなるし、争いの種にもなる。
そして曹操は俺の言葉に笑みを浮かべた。


「そう。そしてアナタが他国に行くような事になるなら私はアナタを消さなければならない」
「そりゃご勘弁」


俺は曹操の言葉に舌を出して於ける。殺されるのは嫌だし……何より同郷の一刀がいるなら断る理由はないな。


「就職先の誘いがあるならお受けしますが……一度、荀家に戻ってからでよろしいか?頼まれ事も有ったし……何より世話になった家に不義理を残したくないんで」
「礼を尽くせる人間は嫌いじゃないわ。この戦が終わったら一度、帰る事を許しましょう」


俺の言葉に曹操は許可をくれた。オマケに評価は上がった模様。


「我が名は曹操、真名は華琳よ。私の事は好きに呼びなさい」
「確かに受けとりました。……大将って呼ばせて貰いますよ」


まさか、いきなり真名を預けられるとは凄い驚いた。これが器の大きさって奴かね。さて、好きに呼べと言われたけど流石に国のトップを呼び捨てには出来ない。一応、社会人だったんでそこはケジメだな。かと言って『華琳様』と呼ぶ気にもならん。となれば『大将』と呼ぶのが妥当かね。後、一応とは言えど敬語はしなければ。


「よろしくお願いします、秋月さん」
「純一でいいよ。大将の所に仕えてるのはそっちが先なんだから色々と教えてもらうぞ?」


そして俺と一刀は握手をしながら笑った。同郷の人間が居るだけでも安心感は違うものだ。
その光景を見た大将はニコりと笑うと楽進・李典・于禁とも向き合う。


「さて、さしあたりアナタ達四人は、一刀に面倒を見させます。別段の指示がある時を除いては、彼の指揮に従うように」

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