第七話
かめはめ波騒動から2日が過ぎた。今日は荀彧が曹操の所へ仕官する日だ。
荀彧は意外にも部屋で寝ていた俺の所へと来て「じゃ……行くから」と別れを告げに来た。思わず可愛いと思いながら「行ってらっしゃい」と言ったら何故か竹筒を顔面に投げられた。解せぬ。
その話を荀緄さんと顔不さんに話したら大爆笑された。何故に?
そして更に次の日になり、俺の体は治った。前回の失敗を糧に同じ事は繰り返さないようにしなければ……
となると顔不さんの講義にもあった『気の掌握』をしっかりとやらねば。これは気をコントロールの事を示すらしく、俺のかめはめ波は『気の放出』本来はこの二つを同時に鍛えなければならないのだが俺は段階を踏まずに『気の放出』をメインに気功波を放った為にコントロールが出来ずに気が枯渇する程の放出をしてしまった。
顔不さんの話にあった気を小出しにするやり方をするとなると『かめはめ波』よりも『波動拳』の方になるのか?
いや、俺の気の総量を考えると『我道拳』の方が建設的な気もする。
まあ、それ以前に体も鍛えなきゃだけど。
それから数日は顔不さんの鍛練と荀緄さんの授業がメインとなった。鍛練は主に組手や筋トレ。そして気の練りやコントロール。
荀緄さんの授業も変わらずだが時おり、侍女さんの買い物を俺が肩代わりしてくる事もある。買い物をして文字の読みや商品を知る事も勉強になるのだと言う。確かに勉強にはなるが初めてのお使いみたいで少し情けなくもある。
そして夜は酒盛りなのだが今日は驚きな一言を聞かされた。なんと荀緄さんは俺の話から日本酒作成に着手し始めたらしい。
え、俺の話から日本酒を作り始めたの?つーか、俺もうろ覚えの知識しかなかったんだけど……まさか、それだけで作る行程まで持っていくとは予想外だった。確か、日本酒って出来るまでに半年くらい掛かる筈だったけど……
でもなんだろう……この人は作ってしまう気がする割りとマジで。
さて、この国の噂になっている事が幾つかある。まず黄色の布を巻いた賊どもが暴れてるとの事だが恐らく黄巾党の連中だろう。三國志の歴史の中でも始まりの乱の切っ掛けとなった連中だ。張角・張宝・張梁が首領だった筈だが……だが劉備や孫策、そして荀彧が仕官しに行った曹操。他にも袁紹、袁術、公孫瓉と言った武将が動く。彼等……いや彼女達が軍を率いて黄巾を潰す筈だ。
そういや、噂を聞く限りやはり武将は殆どが女性らしい。本来の歴史と食い違いが起きてるのか?と言うか男の武将が女になるのなら女の武将は男になるのか?そう言えば絶世の美女と言われた貂蝉は……いや、考えるのはよそう。嫌な予感がする。
次に『天の御使い』の噂だ。詳しくは覚えていないが流星と共に現れ、乱世を沈める存在だとか。
眉唾物の噂だな……まあ、俺も似たようなもんか。なんでも曹操の所に御使いが居るって聞いたけど荀彧も会ったのかな?
そんな事を思いながら、数日過ごした。その間も俺は鍛練をしていたが、気の総量は中々、増えなかった。顔不さんの話では俺には決定的に足りない物があるらしい。それが何か、聞いてみたが自分で気付かないと意味がないと言われてしまい、未だに解らず仕舞いだ。
荀緄さんの授業のお蔭でなんとか読み書きは出来るようになった。いや、この歳になって勉強ってのはキツかった。パソコンも無いし、馴れない筆で書くのは大変だ。
字が下手だと言われたが、こればかりは馴染みが無いので仕方ないと思う。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク