ハーメルン
ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>
5話:イノベイターはコーディネーターを倒すか
~ヘリオポリス宙域にて~
「くそっ!止まりやがれぇ!」
フラガ大尉は焦っていた。
大尉の進言で、彼の乗っていた母艦はヘリオポリス内の工廠地帯へ援護するために撤退しようとしており、大尉はその殿だった。
だが、内部ですでに戦闘が始まっており、ZAFT艦から追加で四機ものジンが発進してきたのだ。
しかもその装備は要塞攻略用の超大火力スタイルだ。
おそらく、あの肩に装着されたミサイルは、直撃すれば戦艦どころかヘリオポリスの宇宙港すら無事でいられるか怪しいだろう。
カタパルトでの加速をすべて母艦への突撃に充てている四機のうち、二機は後ろからスラスターを打ち抜いて停止させ、ミサイルをガンバレルで狙撃し、行動不能にした。
だが、あと二機。
このままでは、と、加速しようとしたフラガ大尉はメビウス・ゼロのコクピット内に響くアラート音と、身を貫く危機感から反射的に回避行動をとった。
頭上方向に回避したメビウス・ゼロの真下を、戦艦の緑のビーム砲が貫いていた。
そして、回避したことで加速が及ばなくなったフラガ大尉の眼前で、ミサイルが発射された・・・
「やめろぉぉぉぉぉぉ!」
ガガッ・・・
と、ノイズがフラガ大尉のパイロットスーツの中で響いた
「・・・フラガ大尉!」
「艦長!?」
「連合の未来を・・・彼女のMSを・・・頼む!」
「艦長ォォ!」
母艦は、薄紫の煙を流し始め、その巨体を少し泳がせ・・・数瞬の後に、オレンジの閃光と共に砕け散った。
だが、もう一機の、ミサイルを発射していなかった方のジンが、宇宙港のゲートにアサルトライフルを撃っていた。
空いた穴から、七機のMSが飛び出してきた。三機はさっきまでと同じジンだが、四機は・・・
「遅かったか・・・!」
連合の新型五機のうち、四機が盗まれている。だが一機足りない。
若いパイロット候補生たちの顔や艦長のことを少しだけ思い出していたフラガ大尉は、ここで艦長の遺言を思い出した。
(おれは、新型を、連合の未来を託されたんだ!)
「一機でも無事なら・・・!」
フラガ大尉は、七機のMSを突破し、宇宙港の中へと侵入する手段を考え始めた。
あの中で、ジン一機が動かない・・・おそらく負傷している。
いくらコーディネーターといっても、さっきまで動かすこともままならなかった新型MSをいきなり実戦レベルで動かせるはずはない。
だとすれば
「突破するのは二機で良い!」
決断すると同時に、フラガ大尉はスラスターの灯を最大に入れた。
当然、眼前の内六機が反応する。ここで、フラガ大尉は作戦の成功を確信する。
「やはり動かない!」
ガンバレル三機を先行させ、メビウス・ゼロのリニアライフルをより近いターゲットに打ち込む。
目の前からの攻撃を、当然ジンはよけるが
「そこぉ!」
避けたジンの前後に、ガンバレルが回り込み、スラスターとアサルトライフルを寸分の狂い無く打ち抜いた。アサルトライフルとスラスターの推進ガスが大きく煙を上げ、相手側で煙幕が発生したような状態になる。
ここまで全くスラスターの出力を落とさず、凄まじい速度になっていたメビウス・ゼロは、煙幕のすぐ横を颯爽と走り抜け、宇宙港の中への侵入に成功した。
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