ハーメルン
ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>
3話:イノベイターの仲間意識は

刹那・F・セイエイは、本質的には争いは好まない性格だと言えるだろう。
実際、アリー・アル・サーシェスの洗脳から解放された彼は、自身の親を殺したという記憶にひどく苦しめられていた。

一方で、彼が必要な時に躊躇なく人を撃てるというのもまた事実である。
イノベイターとして完全に覚醒しても、分り合えないと悟ったリボンズ・アルマークを、刹那は討ち取った。

ここで言いたいことを単純にまとめてしまえば、

「刹那・F・セイエイは、やるときはやるイノベイター(ニンゲン)である」

ということだ。

そして今現在、つまりCE71年1月25日、刹那は、決断を迫られていた。

場所はヘリオポリスカレッジの避難通路だ。

現在、刹那やその知り合いの住んでいたコロニー、ヘリオポリスは、ZAFT軍の襲来によって未曾有の危機を迎えている。
また、つい1時間ほど前に会ったばかりとはいえ、自身の見知った人間が危ないということも彼は認識している。
ここで普通の人間なら、避難艇でコロニーからの脱出を図るだろう。
しかし刹那は一般人ではない。

恐らく彼が鹵獲されたMSを奪うか、説得して借り受けて操縦すれば、戦況が傾き避難時間を稼ぐことができるかもしれない。

イノベイターという存在は、コーディネーターなどとは比べ物にならない戦力である。
しかしそんな刹那が紛争で一勢力に味方すれば、最悪の場合ワンサイドゲームとなりかねない。

それは刹那が最も望まないことであるが、彼は知り合いの危機に何もしないほど冷徹に他人を見れなかった。

刹那は決断に踏み切れないでいた。

そして、キラのことが彼を悩ませている。
キラは他の学生と共に避難せず、同じく避難通路から脱出艇でない方向へ走って行ってしまった女性について行ってしまった。刹那の方向感覚からすると、あの先はモルゲンレーテの工廠だ。ほぼ間違いなくZAFTから苛烈な攻撃を受けている真っ最中だろう。

キラはなぜあの女性について行ってしまったのか。
実際、キラを追って自分も走れば、ほぼ間違いなく戦いに参加してしまうだろう。
今の刹那にとって、キラを助けに行くことは連合への肩入れに等しかった。

このような事態となった直接の原因はつい5分前のことだった
1分前に何があったかと言えばだ。


<1分前より~>

カトー教授のゼミ室で、キラとその友人たちはどうやらコロニーに何らかの異変が起きているらしいことに気づいた。

ここで、当然キラたち一般人は避難を試みる。

カトーゼミから出てすぐのところに、避難艇へ通じる避難通路がある。
急いでドアを開けると、既に大勢の人が階下に向けて避難していた。
急いで自分たちも続こうとした矢先に、聞き覚えのある声がキラたちの鼓膜を揺すった。

「トール!キラ!無事か?」
「ソランさん!一体何が・・・」
「ZAFTのMSが攻撃してきているらしい。ここはモルゲンレーテの工廠から近い。あまり時間は無いだろう。早く避難を・・・」

ZAFTのMSが攻撃して来ている。その一言で、客人の目の色が変わった。

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