千葉にいる比企谷君に会いに行ってから、早くも3日が経った。悩みは解決したのかなぁ?ちょっとくらいメールで教えてくれてもいいのに!もう、比企谷君のバカ!
そんな事を考えながらベッドに倒れ込むと、ケータイが震えだした。
画面を見ると、彼の名前が表示されていた。
「もしもしっ!」
「っ!お、お前、いきなりどうした……」
「比企谷君が悪いんだよ!」
「何がだよ……」
「だってどうなってるのか全然教えてくれないし」
「ああ、まあ、何つーか……色々あったんだよ」
「色々って?」
「まあ、それはさておき……」
「誤魔化した!!」
「その……この前相談したやつ、解決した」
「え?」
「そ、相談のってくれてありがとな。助かった……」
「……ど、どういたしまして」
意外なくらい素直な比企谷君に、つい言葉が詰まってしまう。な、何だろう、この感じ……ちょっとだけ、胸がきゅっと鳴ったような……。
「その、なんだ……今度、また……ほむまん買いに行く」
「う、うん。何ならパンを奢るとかでもいいんだよ?」
今パンを食べたかったわけじゃないけど、とりあえず何か言っておかないと、とても落ち着いていられなかった。海未ちゃんからは、いつも落ち着きがないってよく言われるけど、そういうのとは違う感じ。
「別にパンくらいなら構わん。てっきり、期間限定のアホみたいに高いパフェとかお願いされると思ったが」
「え、そんな高いの奢ってくれるの?」
「奢らん。虫歯になるぞ」
「私の虫歯に絶対に心配してないよね!?自分のお小遣いの心配したよね!?ま、いいけど。比企谷君の問題が解決したなら」
「……お、おう」
何故か比企谷君が慌てているような気がした。
「ん、どうかした?」
「いや、何でもない……」
「そう?あ、そうだ!今度、文化祭でライブやるから絶対に観に来てね!キラキラ輝くライブにするから!」
「そして輝く……」
「ウルトラソウル♪……って話変えないでよ!ライブ絶対に来てね!」
「…………わかった」
「今、行かない言い訳考えなかった?」
「んなわけ……あるか」
「あーひどい!希ちゃんに言いつけよっと!」
「何で東條さんなんだよ」
「だって比企谷君、胸大っきな女の子好きでしょ?」
「え、俺ってお前の中でそんなキャラになってんの?」
「うん。あとは絵里ちゃんとか、花陽ちゃんとか……」
「…………」
「あれ、違うの?」
「……否定はしないが、特に推しメンみたいなのは決まっていない。強いて言うなら、優木あんじゅとか」
「μ'sじゃないじゃん!比企谷君の浮気者!あれ?浮気、なのかな?もういいや、浮気者!」
「どっちなんだよ……ライブ、一応行く。まあ、こっそり応援しとく」
「普通に応援してよ」
「……気が向いたらな。じゃあ、もう切るわ」
「あ、うん。またね!」
「ああ」
話し終えると、心の中が温かいような、散らかったような、不思議な気分になる。比企谷君って、本当によくわからないなぁ。
一応って言ってたけど、来てくれるよね?
……ライブ、絶対に成功させなきゃ。
[9]前話 [1]次話 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/1
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク