ハーメルン
ONE PIECE ~アナザー・エンターテインメンツ~
第12話:〝一人ぼっち〟

 目的地であるセント・ポプラを目指し、ウォーターセブンを出航したテゾーロ財団。
 これといった障壁も無く災害や海賊にも遭遇していないため、処女航海は成功である。
 しかしその分、ヒマな時間が増える。よってテゾーロは自主トレに励むことにした。
「これをどうしようか……」
 テゾーロは意識を右腕に集中させている。
 そんな彼の目の前では、手すりだった黄金がまるで蛇のようにくねらせながら伸び、うねうねと触手のように動いている。
 テゾーロが行おうとしたのは、「FILM(フィルム) GOLD(ゴールド)」の劇中でよく見る黄金を触手のように操って相手を拘束・攻撃する戦闘法だ。
 〝ゴルゴルの実〟の主な使い方は、「黄金を腕に纏って相手を攻撃」、「黄金を触手のように操って相手を拘束・攻撃」、「黄金製の巨大戦闘体」、「黄金製の武器での攻撃」だ。テゾーロはそんな戦闘法をさらに増やそうとしているのだ。
(一応腕だけじゃなく足に纏って攻撃できるようには訓練したんだが……まだ足りないんだよなァ……)
 ギャバンとの修行の中で、テゾーロは新たに〝黄金脚(ゴオン・ガンバ)〟という黄金を纏った強烈な蹴り技を編み出したり、独学で槍術を修得したが、世界を相手取るにはまだまだ未熟である。
 特に一対多数の戦闘法を編み出しておらず、一度に数百人の敵を仕留める技を絶賛開発中なのだ。
「あら、そんなこともできるのね♪」
「ステラ!」
 テゾーロの修練を覗いてたステラが、微笑みながら口を開く。
「黄金がそんな風に動くのは初めてだわ……ゴルゴルの実はすごいのね♪」
「ま、まァね……」
 顔を赤くして照れるテゾーロ。
 それを見たステラは笑い、たまたま見ていたギャバンは大笑いする。
「おい、そろそろ着くぞ。目的地だ」
「「!!」」
 ふと、眼前に美しい町並みが特徴の島が見えた。
 どうやら目的地……セント・ポプラに着いた様だ。
「ここで物資を粗方調達するんだったな。着港したら何をする?」
「一応プランは練ってます…まァ、資金もある程度用意しますし、海賊を見つけ次第狩るとします。海軍がいればいいですけどね」
 テゾーロのプランでは、このセント・ポプラでウォーターセブンが一番欲しがる物資…材木を買い取る予定だ。交渉して値引きしたり使われなくなった材木を見定め良質なモノを貰ったりなど、とにかく買ったり貰う。
 勿論材木だけではない。食料等も買える分だけ買い、船に詰め込んでウォーターセブンで売り捌く。値段は……買った後で決めればいいだろう。
「だがテゾーロ……船番は必要だろ? ステラちゃんを一人っきりにするのは危険だから、おれかお前だぞ」
「それについては……ジャンケンで!!」
 そして、男と男が拳を振るった。


           *


 セント・ポプラの港。
「……〝一人ぼっち〟って、こんなに寂しいもんなんだな……」
 結論を言おう。ジャンケンの結果、何とテゾーロが負けた。
 テゾーロの負け=テゾーロが船番をやる……ポツンと一人、寂しく能力の鍛錬に励まざるを得なかった。

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