霞と真・ポテトサラダのコッペパン
霞が作ってくれた、ポテトサラダのコッペパン。
コッペパンは、この鎮守府がある県では定番の有名店が作る、ふわふわで素朴な味のもの。
県内では学校給食に採用されたり、学校の購買やスーパーなどでも売られているため、全国チェーンの有名ブランドと錯覚している県民もいるほどの人気ぶりだ。
ポテトサラダの主役、芋はホクホクの男爵芋を、芋らしさが残るように潰しすぎず、熱いうちに酢と塩とこしょうで味付けをする。
キュウリとタマネギは塩水でしんなりさせつつ、しっかり下味をつけてと工夫したが、ハムは気取らずスーパーで買った普通のロースハムを細切りにした。
マヨネーズも市販のものを使ったが、ゆで卵をすり潰してコクをアップさせた。
塩は控えめだが、味の輪郭をハッキリさせるために、粒マスタードをほんの少量隠し味にし、リンゴの絞り汁をちょっとだけ加え、生パセリを刻んで混ぜ合わせた。
できるだけ、提督の母親が提督に作ってあげたポテトサラダと同じような姿で、けれど味だけはしっかり上回る出来になったと、霞は自負している。
試行錯誤の途中、背後で大淀が「間宮さんのポテトサラダには砂糖も入っているそうですが、リンゴの絞り汁にしても美味しいらしいですよ」とか、足柄が「あ、こんなところに伊良湖ちゃんがいつもポテトサラダに入れてるゆで卵が!」とか白々しいアドバイスを与えにきた結果だが……。
朝霜は、身体の前後に「具材とマヨネーズの」「黄金比は10:2」とか書いた紙を貼り、何度も霞の視界内を行ったり来たりしていたし。
清霜は武蔵に頼んで軽自動車を出してもらい、隣の市のスーパーでコッペパンを買ってきてくれた。
(まったく、バカばっかり!)
提督の味への感想は……。
その笑顔を見れば聞かずとも分かるが、霞はじっと提督の言葉を待つのだった。
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【おまけ】
提督と一緒に、足柄たちが待つ間宮の居酒屋に向かう霞。
廊下ですれ違おうとした青葉が「あ、いい顔ですね」と何故かカメラを構えた。
上機嫌だった霞は、ついそのままカメラに笑顔を向けた。
カシャッ、とカメラに収められる提督とのツーショット。
後でこっそり焼き増ししてもらおうか、などと内心考えながら歩き出し……。
ハッ、と気付いた霞の手が、自分の頭へと伸びる。
もちろん、しっかり猫耳が着いたままだ。
「青葉! 待ちなさいっ!」
その後10分間、霞と青葉の追いかけっこが続いたという。
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