ハーメルン
王様のいないナザリック(完結)
帰ってきた!

すべては予定通りに、滞りなく進んだ。
ガゼフと知り合い、彼はニグンとしばらく戦った後に、課金アイテムによって私と位置を交換する。
ニグンと遊んでもよかったが、再びメモと向き合う方が大切なのでさっさと拘束し、アイテムボックスから手帳を取り出して記入していく。
「お前は何者なんだ……」
「魔法少女ですよ」
愕然とする相手を放置して、そのときがくるのが待つ。夜が空を支配したころ、大きく空間が割れた、まるで陶器を割ったように。異変はすぐに元どおりになり、ニグンたちは困惑していた。私は今日という日を滞りなく進める方が重要なので、その様子に気づかなかった。
「よし、用事も済んだし撤収!」
法国からの覗き見に対しパンドラが唱えた対情報系魔法の攻性防壁が起動して、それが合図となりニグンたちの傍に〈転移門〉が開いた。ゲートから僕たちが出てきて大切な情報源をナザリックに運んでくれる。
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃいませ」
ルプスと二人で泣きわめくそれを見送ったら、今度は帰還だ。
「一応、村には声をかけておくべきですね。ルプスレギナ、先導しなさい」
「かしこまりました」


それから村に脅威は去った事を報告して、「もう夜も遅いからさっさと帰りますね」という内容を丁寧な言葉遣いで言い、別れの言葉もそこそこに村を出た。

帰り道の草原にて、後方でサポートしてもらっていたパンダラズ・アクターと護衛のルプスレギナを連れてナザリックへ帰路へつく。
パインはほとんどのイベントを原作通りに進められたことに満足していた。これでうまくいけば法国からワールドアイテムを二つとゴッズアイテムの装備品をいくつか手に入れられるはずだ。漆黒聖典に会うためには、冒険者のブリダを見張り、あのブレインがいる盗賊たちのアジトへ案内してもらう方法が一番いいと思った。冒険者になりンフィーレアが誘拐されるタイミングを狙うことも考えたが、モモンガさんがいつから冒険者になったのか不明なので、彼がまったく関与していないブリダの行動に注目したのだ。
いざとなれば、ナザリックによるローラー作戦で敵を見つけちゃえばいい、と思う。

とにかく、大仕事が一つ終わって気分良く家に帰る道中だった。そこに〈伝言〉がきた。
「ーーアルベド、どうしたの?」
何か問題でもあったのだろうか、と背中に冷や汗がつたう。
『ご報告します。至高なる御方、ウルベルト・アレイン・オードル様がご帰還されました』
「……おう」
ロールプレイも忘れて素で返事をしてしまった。



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シャルティアに慌てて〈転移門〉を開いてもらい、すぐにナザリックへと帰還した。ナザリック入り口でアルベドに預けていた指輪を返して貰いつつ、彼は自室にいるのだと教えてもらう。
「ありがとう、アルベド。皆とりあえず通常業務に戻ってください。私はウルベルトさんを訪ねます」

第九階層、ウルベルトさんの部屋へ近づくとすでに警備の僕がいた。そして扉の前で待機しているメイドさん。名前なんだったかな、ごめんね、まだ覚えきれてないんだ。
「お待ちしておりました、パイン様。ウルベルト様がお待ちです」
なぜ私の帰宅時間がわかるのかは知らないが、さすがナザリックのメイドさんだと思う。外用に付けていたマスクは外して、真っ黒な球体の顔を晒した。メイドは少し目を大きくしたのち、キリッと顔を凛々しくさせる。とても美しかった。

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