試しに左の掌に風を集めるイメージをしてみれば手の中で小さな渦が出来た。
それを握り締めてから振り払うと刀を構える。向こうも槍を構えて応えた。
「そのポーカーフェイス崩して、化けの皮剥いであげるわ!」
「……こっちから剥いで見せましょうか?」
「『えっ?』」
その瞬間、俺を中心に風が巻き起こった。
吹き荒れる風は嵐となり、その規模はこの広大なアリーナのグラウンドの約半分を覆うほど。
何これ、凄い。多分やった本人が一番驚いてるわ。ここまで出来るんやなって。
『は、春人? 急にどうしたの?』
心配そうにミコトが訊ねてくる。いきなりこんな事をすれば心配するのも無理もない。
簡単な事だ。向こうがこちらを悪役として見ているからそれに応えるまでよ。
近所の子供にラスボス認定されてた実力、見せてやるぜ。
『えぇ……何その経歴……』
改めて問われると本当に何なんだろう……ま、まぁいい。
「恐怖は我が喜びとなり、憎しみは糧となる! 我こそは嵐の騎士!」
「悪趣味ね……いいわ、その性根叩き直してあげる!」
こうして暴風の中で生徒会長との戦いの幕が上げられ――――
『あの、噛ませ臭半端ないところいいですか?』
何だよ、これからって時に。
『こんなに風出してるせいで物凄い勢いでシールドエネルギー減ってて……もう少しで合計百減るんですよ』
何ですと!?
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