一緒にいたいのは間違いない。だがそれは織斑もそうとは限らない話で。
相手の事を考えず、自分の我が儘を押し付けていては織斑に迷惑を掛けてしまう。箒の中で幾ら織斑が好きだとしてもそれだけはやってはいけないのだ。
「……難儀な性格だな」
「ああ……そうなんだろう。でも私は――――」
「……だが気にするな」
「えっ?」
ハイパーセンサーで見えているはずなのに、意外そうに箒がこちらへ顔を向けた。
「……これは二人をさっさとくっ付けたいという俺の我が儘だ。箒はそれに巻き込まれただけで何も悪くない」
「あ――――」
『――――』
何か言いたげに口が開かれたが、出たのは吐息にも近いものだった。
唖然としている箒へ再度提案。これで断られたら素直に諦めるとしよう。
「……だから気にせず二人で食べてこい」
「う、うむ……そう、する……」
どうにか承諾を得られた頃には箒は今日のノルマを終えていた。となれば次の人と交代である。
打鉄から降りても未だ赤い顔の箒はそそくさと立ち去ろうとした時――――
「その、あ、ありがとう……」
――――はい、ツンデレ頂きました。
とてもか細い声だったが、確かに感謝の言葉が聞こえた。その様子と相俟ってツンデレレベルは非常に高い。
「……どういたしまして」
「前にも聞いたが、何故拝むのだ?」
「……前にも言ったが、気にするな」
「むぅ」
またはぐらかされてしまい、唸る箒。
ただこんな生のツンデレを見せられては拝まずにいられないだけだ。ありがたや。ありがたや。
『春人、拝むのもいいけど時間ないから早く続きやろうよ!』
と、先程まで不機嫌だったミコトが嘘のように上機嫌に。ころころと変わるのは幼さ故だろうか。
結局俺の班はとてもではないが、時間内に終わりそうになかったので山田先生に手伝って貰った。
「空いてるのここしかないな」
「う、うむ! 仕方ない、ここにしよう!」
そしてお昼は席が埋まったという事で織斑と箒は二人きりの席へ。表情に嬉しさを滲ませる箒は幸せそうだ。
一方、俺の方はと言うと。
「「ふふふ……」」
「…………」
あの二人を孤立させるのに協力してくれた簪とセシリアが俺を挟んで火花を散らしている。その顔に笑みを浮かべて。
しまった。最近簪とセシリアがたまにこうなるのを忘れていた。お腹痛い。
「いやぁ、やっぱり櫻井くんはモテモテだねぇ」
「はるるん、頑張れー」
更にこの状況を面白がって同じく手伝ってくれた相川と布仏が茶化してくる。
助けて織斑。何でお前こういう時にいないんだよ。
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