ハーメルン
IS学園での物語

 放課後開催の織斑との特訓を近距離担当と遠距離担当に任せて、俺は昨日やらなかった整備をするため整備室へ。
 合計で四十秒間リミット解除していたため、整備にはそれなりの時間が掛かるだろう。

『春人、春人。実は虚にお願いがあるんだけど』

 ほう……実は俺も布仏先輩にやって欲しい事があるんだ。まぁいい、先にミコトから言っていいぞ。

『うん! あのね、あのね! ラファールに尻尾付けよ!』

 鼻息荒く興奮した様子で提案してきた内容は中々とんでもないもの。
 ラファールに尻尾。そう聞いてまず浮かんだのはとある狼の王様の名を冠する機体。最後は惨たらしく殺されたものの、それまでは無双していたから良く覚えている。

 それが俺のラファールに付けるとなれば、ISの操縦もやって、尻尾も動かすようになる。
 ……うん、扱いきれる自信がない。やっぱすげぇよミカは。初陣で完全に使いこなしてるんだもん。度胸もあるし、嫁さんからハーレム許されるし。

『私がサポートするから! でもね、本当にやりたいのはそうじゃないの! ふんすふんす!』

 口でふんすふんす言うとかあざといな、さすがミコトちゃんあざとい。

『本当にやりたいのは右足にその尻尾を巻き付けて飛び蹴りなのです! 蹴ると同時に尻尾で突くのです!』

 いや、IS相手に飛び蹴りって難しくない?
 牽制する武器すらないのに。ていうか何で尻尾巻きつけるの?

『だって、ただ蹴るよりその方がカッコいいでしょ?』

 オッケー……言葉でなく、心で理解した。まぁダメ元で虚さんに言ってみよう。言うだけはタダってね。

『で、春人のお願いは何?』

 よくぞ聞いてくれた。まぁ俺のはミコトみたいに意味あるような事じゃないんだ。ぶっちゃけると言っても断られると思う。

『そうなの?』

 だってリミット解除して装甲が展開された後、最後に口全体を覆うマスクが展開されるギミックが欲しいだけだからな。意味ないだろ?

『ああ、クウラ最終形態みたいな感じね。分かる分かる』

 お前分かるのかよ……。もうホント好き。

『ん、んんんっ!! 私も好きっ!!』

 えっ、何その反応。何で早口だったの? んんんっ!! って何?

 そんな会話を相棒としていれば整備室に着いた。扉を通れば穏やかな雰囲気から一転、どたばたと慌ただしく、騒がしいものへと変わる。
 当然だ、IS学園にあるISは全てここで整備しているのだから。更に三年生が企業就職へ向けて作った新装備とかもここで見ているらしい。

「あら、櫻井くん。いらっしゃい」
「……いつもお世話になってます」
「い、いえいえ」

 慌ただしさに呆けていると先に来ていた布仏先輩から声を掛けられる。
 正直な話、この状況で当てもなく探し回るのは中々骨が折れるから助かった。

「それで連絡してきたのはラファールの整備で?」
「……はい。今からお願い出来ますか?」
「大丈夫よ。まだそんなに忙しい訳じゃないから他の子も手伝ってくれると思うし」

 ちょっと待っててと言って他の三年生と話しに行ってしまった。

 これで忙しくないとかどんだけ……。少しブラックなところが見えてしまった気がする。

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