怪我も治り、IS使用の解禁となった本日は午前中から授業で触れたのもあって、一日IS尽くしとなりそうだ。
「あれ、今日から訓練再開だっけ?」
「……そうなる」
「お、じゃあ放課後はアリーナに来るんだなっ」
「…………ああ」
午前の授業も終わってロッカールームで着替えようとすると、人懐っこい笑みを浮かべながら一夏が話し掛けてきた。余程嬉しいのか顔だけじゃなく、声にまでそれが滲み出ている。
『いやぁ、イケメンは様になりますなぁ』
そうかもしれないが、そういうの俺に向けられても本当に困る。箒か鈴に向けてくれ。
「ぼ、僕も! 僕も放課後お兄ちゃんと一緒になれて嬉しいよ!」
「ははっ。シャルルはお兄ちゃんっ子だなぁ」
シャルもそんな一夏に何やら危機感を覚えたらしく、シャツを羽織っている途中で必死になって俺の左腕を引いてアピールしてくる。
俺達しかいないけどそういうのやめて欲しい。あと何で一夏は微笑ましそうに見ているのか。お前適応力高過ぎるだろ。
「…………分かったから早く着替えるぞ」
「う、うん」
言われて自分がまだシャツを羽織ったままなのに気付いたのか、少し頬を赤らめて着替えを再開。といっても、スーツの上に着ていくだけなので俺達より断然早い。
「あっ……」
着替え終わってロッカーを閉めると同時、シャルから小さく声があがる。
着替えているこちらを隠すつもりもなくじっと見てくるのは、見られてる側としては中々恥ずかしいものがある。しかも向こうは女子だと分かっている分、更に恥ずかしい。
「…………シャル、どうかしたか?」
「な、何でもないよ!? ぼ、僕外で待ってるね!」
堪らず声を掛ければ脱兎の如く出ていってしまった。まぁ、男の裸なんて見せたらセクハラ言われても仕方ないからこっちの方がいいけど。
「なぁなぁ、前から聞きたかったんだけどさ」
「……何だ」
「お前らってホモなの?」
「ぶっ飛ばすぞ」
「えっ、戦ってる時ぐらい流暢じゃん……」
『今週のおまいうはここですか?』
その一連のやり取りを見て、一夏からの一言。何かと思えばかなり心外なものだ。
というか、お前には言われたくないという思いがあまりにも強すぎて普通に話せてしまった。
「じょ、冗談だよ。悪かったって」
「…………ならいい」
一夏もまさかそこまで反応が来るとは思ってもいなかったのだろう。慌てて謝罪の言葉が飛び出す。
カッとなってつい口にしたが、別に俺もそこまで引き摺るつもりもない。中断していた着替えを再開する事に。
「でも今日は箒もIS借りられたって言ってたし、久し振りに皆揃うな」
「……多分ボーデヴィッヒも来るぞ。いいのか?」
少し気まずい空気を変えるべく、話題は放課後の訓練へ。そこへ一つ爆弾を落とした。黙っていてもいつかは分かってしまう事だ。なら先の方がいいだろう。
そう、今日から再開するのは俺だけじゃない。セシリアもそうだが、ボーデヴィッヒもだ。
この約二週間の付き合いであいつも悪いやつじゃないと分かり、一夏への敵対視もなくなったが、初日の事についての謝罪は未だ出来ていなかった。単純な話だがあいつなりに悩んでいるらしい。
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