「あっ……」
そこで初めて俺の持ってきた定食を見たのだろう、山盛りのご飯を見て少し驚いていた。
「いっぱい食べるんだ……」
「……食べきれない事もないが、別にこんなに食べなくてもいい」
「じゃあ何で……?」
「……無理矢理大盛りにされる」
「そうなんだ……」
終わっちゃったよ! せっかく天使が会話の切っ掛け作ってくれたのに全然生かせなかったよ!
内心冷や汗だらだらの俺の目に更識の食べているものが映る。やたら大きな器にいっぱい入ったうどんとかき揚げ。正直、女子が食べるには多すぎる。
辺りを見渡してもそうだ。こんなに大きな器は更識以外誰も持っていない。
「……更識も多いな」
「む、無理矢理大盛りに……」
「……そうか」
「ふふっ」
「ふっ」
そうだった。元気がないんだからと俺は大盛りにされたんだ。失礼だがそれは更識にも当てはまる。要するに似た者同士なんだ。
それに気付いたら二人とも小さく笑みが溢れた。何を緊張していたんだろうか。
大丈夫。この子とならこれからもやっていける。そう確信した昼だった。
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