第八刀 落とされた最終兵器
エルザの話を聞いてショウは、8年という長い年月の間…ただ只管にジェラールに従っていたが、その実…裏切られていたと理解して酷く混乱している。
しかしそれも無理もないのだろう。
裏切っていたと思っていたエルザが実は自分と同じ被害者だったのだから。
「正しいのは姉さんで、ジェラールが間違っているとでもいうのか!!」
「そうだ」
「「「!!!!」」」「シモン!?」
ショウの悲観的叫びに答えたのは身体の大きな男、シモンであった。
リュウマにとっても久しぶりの顔だ。
ホテルでの暗闇は、シモンの使う魔法であった。
そして誰も殺すつもりはなかったが故に、身代わりを造ったグレイに気づいていたが、態と見逃した。
「お前もウォーリーもミリアーナも皆ジェラールに騙されているんだ、機が熟すまでオレも騙されているフリをしていた」
「オレは初めからエルザを信じてる、8年間ずっとな」
「会えて嬉しいよ…エルザ、心から」
「シモン…」
エルザとシモンは感動の再会から熱い抱擁をする。
シモンはジェラールの元にいながらも優しく、逞しく成長していた。
そんな2人を見守っていると、シモンがリュウマを見て訝しげな視線を送る。
「お前は…どこかで…」
──…っ!バレたか…?
「なんで俺は姉さんを信じられなかったんだ!くっそおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!何が真実なんだ!!」
ショウが叫んで視線が切れてホッとした、ここでバレてしまうのは不本意なためだ。
気づかれたのならば仕方がないのだが、出来れば知られなくはないというのが本音だ。
そして、シモンが言うにはナツの力が必要とのことだ。
ナツはさっき一人で走って何処かに行ってしまい、ウォーリーとぶつかるかもしれないということで急いで探さなくてはならなくなった。
ナツを探して道を進んでいると…壁のそこら中に口が現れ、独りでに喋り出した。
「なにこれ!?」「気持ち悪い!?」
『ようこそみなさん、楽園の塔へ』
「しゃ、喋り出しましたよ!?」
「ジェラールだ、塔全体に聞こえるように話している」
「塔全体にこの口が…」
塔全体に口があると考えると、流石に気持ちが悪くなってしまったルーシィだが、それは他の者も同じだった。
『俺はジェラール…この塔の支配者だ、互いの駒は揃った、そろそろ始めようじゃないか』
『楽園ゲームを』
どうやら塔の中にいる人間を駒と考え、ゲームと見立て戦うようだ。
ジェラール側には3人の戦士を配置しており、倒しきらなければ目標であるジェラールの元へは行けなくなっているらしい。
しかも、評議会がここに衛星魔方陣という究極の破壊魔法エーテリオンを落とそうとしているとのこと。
エーテリオンとは、評議会が最終兵器として使う『超絶時空破壊魔法』だ。
評議院が保有する兵器の一つで、現評議員9名の承認と上級職員10名の解除コードで発射することができる。
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