第18話『泥んこ作戦です!』
『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』
第18話『泥んこ作戦です!』
時は少し遡り………
大洗歩兵部隊とジョロキア歩兵部隊の乱戦が続く中………
大洗戦車部隊と天竺戦車部隊は………
「装填完了っ!」
「右に5度………発射ぁっ!!」
装填手の装填完了の報告を聞くと、即座に照準を定めて発砲するローリエ。
コメットから放たれた砲弾は、風切り音を立てながら飛翔し、Ⅳ号の右側の地面を爆ぜさせた。
「くうっ!?」
振動がⅣ号を揺さぶり、みほは思わず声を挙げる。
「みぽりん!? 大丈夫っ!?」
「う、うん。ちょっと振動が来ただけだから………それに、行進間射撃はそう簡単に当たるものじゃないから」
「だが、このままだと何れ直撃を食らうぞ………」
心配する沙織にみほがそう答えていると、麻子がそう言って来る。
天竺戦車部隊から必死の逃走を続けている大洗戦車部隊だが、徐々に両者の距離は詰まって来ていた。
幾ら命中率の低い行進間射撃と言えど、近距離まで近づかれれば当然当たる確率は高くなる。
このまま距離を詰められれば、防御力で劣る大洗の戦車達は一溜りも無い。
「皆さん、頑張ってください! もう少し………もう少しなんです!!」
しかしみほは、まるで祈る様に呟きながら、『あるポイント』を目指して前進を続けさせる。
『敵戦車部隊接近! 駄目です! 追い付かれますっ!!』
と、ウサギさんチームの梓から悲鳴にも似た声が挙がる。
『このぉっ! 撃て撃て撃てぇっ!!』
狂乱したカメさんチームの桃が、38tの砲塔を後ろに向け、次々に砲弾を発砲するが、相変わらず砲弾は明後日の方向に飛んで行っている。
『クソッ! 回転式の砲塔さえ有れば………』
カバさんチームのエルヴィンは、自走砲故に正面にしか攻撃出来ない事を恨めしく思っている。
「…………」
そんな中、アヒルさんチームの典子が、キューポラから上半身を曝け出し、後方から迫って来る天竺戦車部隊を睨む様に見ていた。
「………皆! やるよっ!!」
そして、何かを決意した様な表情になったかと思うと、車内を覗き込んで、チームメンバーに呼び掛ける。
「「「! ハイ! キャプテンッ!!」」」
妙子、忍、あけびの3人は、即座に典子が何を考えているのかを察する。
そして次の瞬間には、八九式が隊列から抜け出し、天竺戦車部隊へと向かって行った!!
『!? アヒルさんチームッ!? 何を………』
『西住隊長! 此処は私達が食い止めますッ!! 行って下さいっ!!』
驚きながら通信を送るみほに、典子がそう返事を返す。
『そんな!? 無茶ですっ!!』
『そうです! 八九式の主砲じゃ………』
『大丈夫! コッチには真田さんが『こんなこともあろうかと』用意してくれた『タ弾』があります!!』
タ弾とは、旧日本軍で使われた対戦車用成形炸薬弾の秘匿名称である。
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