プロローグ
ある日、テレビで宝のニュースを見ていたのび太がドラえもんに言い放った。
「聞いてくれ、埋まっている宝を掘り出すのは僕にとっての一生の夢なんだ。」
「・・・・・・・・・。」
のび太の言葉にドラえもんはキョトンとする。
「だけど世界中に埋められている財宝には限りがあるはずなんだ、うん。」
「なるほど、そりゃそうだ。」
「でしょ!ねぇ、それなのにこう先にどんどん発見されたら、僕の分がなくなる。」
「なくなるね。」
「ああ!僕の人生には夢も希望も残されてない。」
そう言うと、のび太は泣き出した。
「おおげさだな。」
「わぁぁぁ!おおげさだっていいよ!」
「じゃあ、ささやかな夢を・・・。」
ドラえもんは呆れながら四次元ポケットに手を入れる。そして
「宝星探査ロケット!!」
「!?」
「広い宇宙には人間みたいな生命体の住んでいる星が他にあってもおかしくない。このロケットは財宝探知レイダーをつけていて、宇宙の果てまで飛び続けながら・・・・」
「宝を見つけて、知らせてくれるんだね!?」
「そういうこと。」
「ヤターーーー!!ワアーイ!!ワアーイ!!」
「でもあてにしないでね。」
「えっ!?どうして?」
「何しろ宇宙は広いからね。宝クジよりもっとあたりにくいんだから。わかる?」
「うん、それでもいい!もしもという夢が持てるだけでものび太少年のマロンさ。」
「ロマン。」
「あっ、それそれそれ。」
「静香ちゃん!」
「あっ!のび太さん!」
「僕、もうすぐ大金持ちになるかも。」
「えっ?大金持ち?」
「そしたらさ、プールとテニスコート付きの家を建てるんだ!」
「・・・・・・・・・・・・。」
「もちろん、静香ちゃんの為に。」
ところが、現実はそう甘くはなかった。
「もういいよ。宝探しなんて。」
のび太はその場でねっころがる。
「僕、疲れた。」
すると隣に座っていたドラえもんが口を開く。
「でも君は運がいい方だよ。」
「どうして?どこが?」
「たった三発のロケットで二発も当てるなんて・・・・・。本当すごいんだよ、これは!」
「宝なしじゃ、外れとおんなじだよ。」
「・・・・・そんな・・・・。」
「あのロケット、不良品じゃないの?」
「なに!?そんなことないぞ!」
「うん!インチキだ!」
「インチキとはなんだ!!」
「だーてインチキだもん!」
「宝探しが君の夢だって言うから協力してるんだぞ!!」
「・・・・・・・・・・余計な御世話だね!!」
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