第019話:”エコニアン・ラプソディ”
さてさて、捕虜収容所が主要産業と言うある意味において終わってる惑星”エコニア”にやってきた、最近の少し中二の入ってる同盟婦女子(あるいは腐女子)で流行ってる言い回しによれば”金色の獅子王子様”ことラインハルト・ミューゼル中尉ではあるが……
「何度も何度も何度も何度も、ウンザリするほど腐れ女に殺されかけた俺を舐めるな!!」
早速、騒動に巻き込まれたでござる。
ついでに言えば、元帝国軍人の捕虜と巨漢の同盟軍人、それと謀殺の証拠として一緒に砲撃で始末されかけた若い方の捕虜と一緒に立てこもった挙句、隙を見て奪った装甲車に乗り込み、装甲車に取り付けられた重機関銃型速射ブラスターをハッピーにトリガーを引きながらラインハルトは大立ち回りを演じていた。
別の人生を経験した記憶を考えてみれば、この程度の暗殺劇なぞ人生のある時期においては日常茶飯であり、今生の体験ではなく記憶に染み付いた感覚的にはラインハルトにとって慣れっこだ。
「ボ、ボウズ、あんまり無茶するのはオジサンどうかと……」
「安心しろ! 正当防衛なのだから問題ない! さあ、どんどんかかってこい! 我がストレスの発散先となるが良い!!」
ちょっと皇帝陛下が復活してる臭いラインハルトに、
「なあ、ボウズ……お前の人生、ここに来る前に何が人生にあったんだ? 俺でよければ相談に乗るぞ?」
「はは~。御老体、こりゃ言っても無駄ですよ。ミューゼル中尉殿、完全にキマっておりますからな。いわゆる最高にハイな気分と言う奴です」
「Ha-Ha!! 我がやり場のない憤懣の炎に焼かれ、条理の中に散れ!!」
「言ってることと趣旨が変わってるっ!?」
『あれ? これもしかして同盟の捕虜になったときよりヤバいんじゃね?』と思い始めた御老体、元銀河帝国軍大佐のクリストフ・フォン・ケーフェンヒラーに対し、
「ハハッ、困りましたなぁ~。これはひょっとするとエコニア捕虜収容所、最後の日かもしれませんぞ?」
と巨漢の同盟下士官、フョードル・パトリチェフ曹長は実に朗らかに笑い飛ばした。
それは単純な彼のキャラと言うより、むしろ鉄火場に慣れた者特有の余裕じみたものだった。
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