第008話:”人に歴史あり”
さて、少し視点を変えてみよう。
そう、同盟領エル・ファシルに迫る帝国軍艦隊にだ。
ただし貴族艦隊ではなくイゼルローン駐留艦隊から徴用された1500隻の方だが……
さて、ここで少し艦隊編成の話をしよう。
基本、帝国も同盟もこの世界では基本500隻で1個戦隊を形成する。
この戦隊が2個以上集まって分艦隊を形成するのだ。
正規艦隊ならば普通は4~6個戦隊(2000~3000隻)で分艦隊を形成し、分艦隊2個以上で一個正規艦隊を編成する。
自由惑星同盟なら、現状は12000隻~15000隻で一個正規艦隊であり、これを12艦隊保有しており、対して帝国は10000~12000隻程度だが、その分18個正規艦隊を揃えている。
ただ、これはあくまで正規艦隊の話であり、例えば帝国貴族の私兵である私設艦隊は編成が一定でない場合が多く、また両国を問わず方面艦隊や地方艦隊、警備艦隊などはその限りではない。
例えば、リンチ率いるエル・ファシル駐留艦隊は2個戦隊規模で1個艦隊としていた。
また帝国の誇る人工天体型の球状大型要塞”イゼルローン要塞”の駐留艦隊は、その主任務を同盟領へ威力偵察……装甲パトロールとしているので、同盟の正規艦隊が押し寄せてきた場合の防衛任務を除いては、駐留艦15000隻を30個戦隊編成とし、3個戦隊を1チームとした1500隻単位でローテーション・パトロールを行っていたのだ。
無論、本来ならこの3個戦隊1500隻も一丸となって動くのではなく、戦隊ごとにそれぞれ別の定期巡回航路を進むのである。
当たり前だが、彼らの本来の任務は要塞を攻めようとする同盟軍の動向をいち早く察知すること、要塞の目となり耳となることなのだが……
「何が悲しくてマンハントを楽しみたいなどとバカを言い出す貴族の護衛を、俺がしなくてはならん」
そう提督席でぼやくのは、黒髪に金銀妖瞳の若い、貴公子然とした男だった。
「”マールバッハ伯爵”准将閣下、そういう貴方もその貴族の端くれでしょうに?」
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