第07話 『蛇、蝙蝠、山猫……そして蜂の群れ』
ボルシャヤ・パスト中継基地を制圧し、補給を済ませたバットは目的地に向かう為のボルシャヤ・パスト:クレバスに差し掛かったのだが、森林や沼地から一転して開けた場所に危機感を感じる。木もあるにはあるが数は少なく、枝に葉はまったく存在せず、岩場と荒れた大地のみで上空からは丸見えだし、狙撃手がいれば格好の的だ。
スネークも同様のことを考え警戒しつつ動こうとした。先に進むには底の見えない中央にあるクレパスを降りなければならない。なるべく早くしなければ…。
カツン…カツン…。
クレバスで遮られた向かいより足音が風に乗って耳に届く。
「やはり来たぬぁあ!?」
姿を隠す様子なく向かいの岩場より姿を現した人物に対してAK-47の銃口を向け、躊躇する事無くトリガーを引いた。現れた人物は何か喋っていたようだったが銃が放たれた事で咄嗟に飛び退いて銃弾を回避する。
一瞬だったが黒い制服に灰色の短髪に踵に小さな車輪のような物を取り付けたブーツを履いていたのが見えた。
「前振りの段階で撃つとは卑怯な!」
「確かオセロットでしたか?すみません!イベントスキップする気はなかったんです!どうぞ続けてください!」
「イベントスキップ?―――まぁ、良い。ザ・ボスの情報のおかげでこうして出会えたのだからな」
銃口を下げた事を確認して出てきたオセロットと言う青年は笑みを浮かべながら情報源を暴露した。ザ・ボスという人物に出会ってないから誰だか分からないが、どうやら監視、または動きを読まれている可能性がある。
ゆっくりと中央付近まで出てきたオセロットはスネークだけを視界に捉え、腰のホルスターより装飾を施されてない黒い回転式の拳銃を抜いた。あまりの速さにスネークはホルスターに手が伸びただけで対応し切れていない。これが早撃ちだったらバットもスネークも命は無かっただろう。しかし、オセロットは撃つ事はしなかった。思わず戦闘態勢を取ろうとしていたスネークが動きを止めて様子を窺う。
注目を浴びる中でトリガーガードに人差し指を引っ掛けくるくると回しながらホルスターに仕舞いこんだ。
「お前は俺の顔に二度も泥を塗った」
それだけ告げると猫の鳴き声を真似して叫ぶ。背後の森から気配を感じてAK-47を構えると、オセロットのように黒い制服に赤いベレー帽を被った兵士達が素早い動きで森の奥より現れ、複数方向から銃口を向けてきた。オセロットとは違う点は顔を黒い覆面で覆っているところぐらいか。
先ほど二度も泥を塗ったと言って来たという事はボクが会う前に一度出くわしている。それに二度目と今の三度目の時間差はあまりない。それほど頻繁に出会うという事は彼がライバルポジションの敵役なのだろうか?先ほどの動きで分かってはいたがライバルポジの彼の声で姿を現した兵士はかなりの精鋭部隊と見て間違いないだろう。
「コブラ部隊には悪いがお前はこのオセロットが貰う。お前たちは下がっていろ!」
どうやら一対一の決闘をご所望らしい。
兵士達は命令通り銃口を下げて観戦に徹するようだ。オセロットが鋭い視線でバットを睨んだので、バットも銃口を下ろして後ろに下がる。
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