第七話『残された時』
これは誰の夢なのだろう。
いや、夢なのか?
見慣れない場所、夕日の公園。
そこに居たのは2人の兄妹。4人の幼なじみ。
幼い頃の美雪、ましろ、つぐみ、紗夜、日菜、はぐみだった。
「まってよー」
「鬼さんこちらーここまでおいでー!」
楽しそうに遊ぶ子供たち。
誰かに声をかけようとするが体は金縛りにあったようにそこから動かない。
そのうちに子供達は気に登り始め綺麗な夕焼けを見ている。
子供達は約束する『永遠に一緒だよ!』と
永遠なんてないのに。
現実はみんなバラバラになり荒野と化した。
失ったのは1番幸せになって欲しかった人。
その人にもう何かを伝えることは出来ない。
すると急速に意識が覚醒していく。
「待って!ましろ!俺は貴女をーーー」
ーーーーーーーーーーーー
ベッドに寝ているのは白銀の髪をした女の子のような容姿をした少年。
夜にはまだ早い。面会時間がもうすぐ終わる静まり返った病院で少年は目を覚ます。
目を覚ますとそこは見慣れた家ではなく白い天井が見えることから運ばれてここはどうやら病院のようだと認識する
心臓の鼓動が聞こえる。
どうやらまだ俺は生きている。
時刻を確認するため壁時計を観ると以外にも数時間しか経っていなかった。
そうこうしていると母親が入ってきた。
医師も一緒にいる。
「大丈夫なの?貴女がライブハウスで倒れて皆が救急車を呼んで病院に搬送されたのよ。」
「そうなんか・・・
母さん、先生、俺の体はどうなってますか?」
すると医師と母さんは顔を見合せしばらく部屋をでてなにか喋り始めた。
覚悟は出来ているしある程度想像もつく。
そして話終わり医師重く口を開く。
ー 末期の癌です ー
そう告げられる。
ある程度覚悟はしていたものの目の前が真っ暗になった。
だが諦めきれない夢がある。
その覚悟は前から母さんには伝えていたからか治療を拒否した時、何も反対をしなかった。
その日は寝られなかった。
俺は、次の日ライブに行くつもりだ。
運命とはなんだ
人間の意志をこえて人間に幸福や不幸を与える力、あるいは、そうした力によってやってくる幸福や不幸だ。
だとしたら何て残酷なのだ。
誰もが幸福でありたいと願いながら、選択することはできない。だから人は運命に翻弄される他ないのだ。
それなら運命に抗う他ない、
そうつぶやく声。
白銀の髪に強い眼差し。
いつもの彼がそこにいた。
ーーーーーーーーーー
もう覚悟は決めた。
そうして俺はいつもの様に扉を開くとメンバーがいた。
他のヤツらはまだのようだ。
扉を開けると皆、目を見開いている。
俺が来るとは思っていなかったようだ
「ははっ、なにをそんな幽霊が出たみたいな顔してんだ。時間が無いだから早く合わせようぜ曲はー」
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