ハーメルン
気づくとギレンでドズルが怒鳴ってきた。
番外、ドズル・ザビ、キシリア・ザビ、キャスバル・レム・ダイクン

宇宙要塞ソロモン、
金平糖に似た形をしているこの場所はドズル・ザビ麾下の宇宙攻撃軍の拠点となっている。

「目標は厳重な要塞化の可能性があるから作戦は延期だとぉ!? 襲撃を中止して偵察してすぐ帰ってこいだとっ! どうなっているんだ! 作戦には準備というものがあるのだぞっ! 姉貴の説得だってしたのだ、偵察のついでにルナツーなど占拠してやるぞ! ええい! 」

シャアに通信を送ったあと、すぐにギレンの命令が総司令部を通してドズルに届いた。
ドズルは困惑した。

ルナツーは初戦での艦隊戦の残兵が篭る、戦略的価値もない元資源採掘用小惑星を基地として利用した場所。
そんなものはいまある戦力で落とす事ができる。
それがこの作戦を決めた時の考えだったはずだ。
しかし、先のギレンとの通信では連邦のV作戦の思惑について聞かされた。
それは納得のできるものではあった。
わざわざ囮に使うなど、連邦も小癪な手を使うと。

そう考えればこの命令も俺の知らない思惑が兄にはあるのかもしれない。
しかし何故俺には教えてくれない。
生まれの卑しさから政治的な物の感覚に疎いように見せていることやそもそもの武人気質はそういった葛藤をドズルに抱かせ、彼自身を憤らせていた。

「姉貴……いや、キシリアの奴はなんと言ってるんだ。なにっ! やつは兄貴に呼ばれサイド3に行っただとっ! ええいっ、V作戦のあの命令といいルナツー襲撃作戦といい、この大事、一体何が起きているんだっ! 何を考えているんだっ! 斯くなる上は俺もサイド3にいき詰問する!」

ギレン、キシリア共に通信に出なかった為にドズルの興奮は高まってしまった。
口には出さないがドズルには危機感があった、伝え聞く地球の戦況は非常に悪い。
物資が届かないのだ。

そんな状況故にオーバーな反応になってしまう。

そこにドズルの妻ゼナ・ザビがやって来た。

「貴方、どうしたの? そんな大声を出して。ソロモン中に聞こえてしまいますわよ。その調子では産まれたばかりのミネバにも怖がられてしまいますわ」

「おお、すまんな、ゼナ。ルナツー襲撃は中止だそうだ。ミネバの誕生祝いにこの宇宙をプレゼントできそうにない」

「ふふ、お上手ね、ですが、そんな大きなものはこの子の手に余りますわ。そんなものより、あなたがいてくれればそれだけでプレゼントなのですよ、ですからそんなに大きな声でどこかにいくなど喚かず、側にいてくださいませ。貴方、お二人ともお忙しいのでしょう、少し待ってみましょうよ」

「むぅ、お前がそう言うならな。お前も上手いものだ! ガーハッハッハッ! わかった。わかった。俺はここで兄貴の連絡を待つ!」

こうしてソロモンの時間は流れていく。


月面基地グラナダ、
ジオンにおいて最も多くの特殊部隊を持つ突撃機動軍を配下に置くキシリア・ザビが拠点にしている場所である。
そもそも月はコロニーの自治独立を阻む為に各コロニーの生活必需品、重工業の生産を引き受けるという役割があった。
デギンの政治的手腕、スペースノイドの自治独立の夢により月企業群を味方につけ、サイド3は重工業が発展し国を興す事ができた。
そういった背景によりこの月面は連邦とジオン、さらには各企業群といった様々な力が密接に絡み合う場所となっている。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析