ハーメルン
虹に導きを
そして物語は美しく閉ざされた


 誰かを助けるのに理由を求めるほうがおかしいのだ。

 好きなら好きだと言えばいい。

 一緒に居たいなら一緒に居たいと言えばよい。

 それが出来るかどうか、はまた別の話だろう。だけど素直な気持ちは常にそこにあるのだから、それを偽って理由で固めるのは馬鹿々々しいと思う。そう思って今までの人生を歩んできたら化け物ばかりを社畜に育成したり、キチガイの様なテロリストが友人に居る。だけどまぁ、人生そんなもんだろうと思っている。

 悔いがあるかないかで言えば悔いの多い人生だった。

 だがそれとは別に満足している。

 そしてさらに満足できるだろう―――君が笑顔を見せてくれれば。

 それだけで全て、報われる。

「聞こえてる王子? アレをサラッと恥ずかしがらずに言えるのが真のイケメンという奴だって」

「恥ずかしくないのだろうか彼は……」

 余裕を取り戻した瞬間それかよお前ら。現代に居た頃とあんまりノリが変わらない。……いや、そうなのだろう。どの時代でも結局人間に変化と呼べるようなものは薄い。どこまでも馬鹿で、阿呆で、そしてくだらなく……素敵なものなのだろう、そう思う。

 まぁ、それはそれとして、そろそろタイムリミットである。

 世界が時間の粒子に飲み込まれ、存在そのものが歴史の果てに消えて行く―――まだ生まれてこない未来へと。果たして時間の流れそのものを崩壊させた大罪人に待つのは消滅か、永遠の虚空か。どちらにしろ、楽しみであるのに間違いはない。

 そんな事を考え、消える間際、

 オリヴィエが視線を持ち上げ、立ち上がったのが見えた。

―――そしてそのまま、抱きついて来た。

 感じる体温の感触と軽い体の感触に意識が囚われた瞬間、世界が時と共に解けて消えるのを感じた―――。

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