ハーメルン
虹に導きを
めでたしめでたし


 前は頭の後ろで丸めるようにまとめていた髪を今では解いて、自由に垂れるポニーテールにしてある。キッチンで昼食のパスタをしている背中姿が見えるが、調理器具に触れるその両手は少し不格好な鋼色の義手をしていた。

 ちらちら料理をしている間に揺れるポニーテールの合間から見える首筋が辛い。誘惑的な意味で。アレは絶対に誘ってる。だが誘うのは此方である、と意味不明な理論を構築して耐える。

 ただその普通に料理をする背中姿を見て、

 それがおそらく、彼女が元々いた場所では絶対に見れなかったであろう景色という事を思い出し、少しだけ、達成感を感じて息を吐く。それを聞こえたのか、彼女が―――オリヴィエ・ゼーゲブレヒトが振り向いた。

「どうしたんですか?」

 いや、と彼女の言葉に答えつつ、ソファに倒れ込んだ。

 改めて思っただけなのだ、と。

 これはきっと、年貢の納め時なのだろう、と。

 何せここからは冒険も糞もない、平和でどこにでもある様な日常ばかり続くのだから―――。

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