第6話 下準備開始
「まずシャルティアに教えてあげようかしら」
主人が出した命令を思い出す。
人間達が欲する商品開発、シャルティアにそんな発案が出来るとは思えないが多少はフォローしてやっても良い。
これはシャルティアのためというより主のためだ、落ち込んだままではまた別の失態を犯すかも知れない。それでは慈愛に溢れる主が気にしてしまうだろう。
結局のところ失態はそれ以上の成果で償うほか無い。
そのチャンスくらいは与えても問題はないだろう。
行き先を変更し、アルベドはシャルティアに<伝言>を繋げることにした。
「<伝言>。シャルティア? 私だけれど、今大丈夫?」
ナザリックの内政を殆ど任されているアルベドには今シャルティアが特に主人から仕事を任されていないことは知っていたが、一応尋ねる。
『アルベド? 何の用でありんすかぇ?』
声は普段通りだが、やはりどこか覇気がない。
「仕事よ。アインズ様からのご命令」
『……なんでアルベドが言ってくるんでありんすか?』
声が一気に下がる。
基本的に主人は命令を下す際、自分で本人に<伝言>を飛ばす。大事な命令であれば玉座の間で直接伝えることもある。
今回間にアルベドが入ったことでシャルティアは自分が主人にないがしろにされているように感じたのかも知れない。
「別に貴女だけじゃないのよ。守護者全員とプレアデス、一般メイド達にも通達が下ったのよ。私はそれを伝えているだけ」
『そ、そうでありんすか。それで! アインズ様はなんと! あの時の失態を償い、シャルティア・ブラッドフォールンの有益さを示すチャンス! 逃すわけには』
ビリビリと響くような強い声には確固たる決意と意志が込められていたが、同時に何となく今回も空回りに終わりそうな予感があった。
「ナザリックの技術で作れて人間達が喜ぶ商品のアイデアよ」
淡々と告げた後、暫く間が開いた。
『え?』
小さな呟きに対し、アルベドは再び同じ事を告げる。
「ナザリックの技術で作れて人間達が喜ぶ商品のアイデアよ」
『え?』
かえってきたのは再び同じ答えだった。
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