ハーメルン
サーティ・プラスワン・アイスクリーム
その3

 魔王が飼っているサメは、一匹のサメを頂点とする軍団である。
 軍団の長の名は、魔王海軍将・サメイラム。
 魔将とは別枠に、名誉職のような扱いで将の名を与えられたサメであった。

 サメイラムはサメ軍団の頭脳として機能して、サメの軍団を手足のごとく操り、海底ドームへと次々と突撃させている。
 すると、時々ドーム内部に突っ込んで来る個体もいるわけだ。
 当然のように泳ぎもすれば走りもするサメを、一匹一匹聖剣を手にした朔陽が切り捌いていく。

「両手で振れ! 一閃する度に身体が流れているぞ!」

「はい、亀さん!」

 サメは強い。
 朔陽が剣を振っても噛み付いて剣を止めることもあった。
 尻尾の一撃は朔陽の手から剣を弾き飛ばすのに十分な威力がある。
 口からは、大した威力ではないがヘキサメチレンテトラミンの結晶を吐き出し、上位個体は光線を吐き出す。
 地を走り、海底に潜り、空を飛び、時には空間転移すら織り交ぜる。

 地球でサメが恐れられる理由がよく分かる、そんな強さを見せつけていた。

「うう、しんどい……!
 沖縄で皆がナチスの遺産たるサメを狩ってた時はあんなに楽そうに見えたのに……!」

 朔陽がサメという強生物と戦えているのは、ひとえに武器が優秀であるからだ。
 歯に噛み止められればエネルギー放出で歯を弾き、サメの尾に弾かれそうになっても朔陽の手の内に留まり、サメの吐く光線を聖剣の光で相殺してくれている。
 それでも、朔陽はサメとの一対一で生き残るのが精一杯。

 サメとの攻防は、常に火薬の爆発を剣で受け止めているようなもの。
 カップラーメンに入っている火薬を見たことがない現代人など存在しないだろうが、火薬が収束し爆発した時の衝撃は、一般人の手を一撃で痺れさせてしまうものだ。
 朔陽も最近始めた地味な鍛錬がなければ、とっくに剣が振れなくなっていただろう。
 ……このままだと、振れなくなるのも時間の問題だ。

「今助けを呼んでくる、持ちこたえろ!」

 このままではいかんと判断した亀は、朔陽に助言を送るのを止め、城内に仲間を呼びに走った。










 城がにわかに騒がしくなって来た。
 切子は何事かと部屋を出て、城のバルコニーに出て外を見渡そうとする。
 見渡そうとしたのだが、バルコニーには先客が居た。

「貴様か」

「竜王様……」

「貴様も見るか? 惚れた男の見せ場だぞ」

 竜王に促され、城の外を見る切子。
 そこには、聖剣を携えサメと戦う朔陽の姿があった。

「! 佐藤さん!」

「まあ待て待て待て」

 竜王は助けに駆け出そうとする切子を止め、海底ドームの空に指を振る。
 すると、ドームの頂点と海水の境界が揺らぎ、サメが一匹落ちてきた。
 同時に朔陽がサメを切り捨て、朔陽は新たに落ちて来たサメと退治する。

 あのサメは障害を突破して城の周辺に落ちて来たのではない。
 どうやら、竜王が招いたために侵入して来ているようだ。
 竜王は朔陽が処理しきれない数のサメは招かず、けれども朔陽が楽をしない程度のペースでサメを招き入れている。

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