ハーメルン
サーティ・プラスワン・アイスクリーム
その2

 召喚にて勇者を呼ぶには、魔力と運と根気が要る。
 ソシャゲで狙ったキャラを呼ぶには、金と運と根気が要る。
 デリヘルを呼ぶには金があればいい。
 そういう点で見れば、勇者やソシャゲよりデリヘルの方が優れていると言えるだろう。
 ただし、もっとコスパがよくて確実性の高いものもある。
 信頼する部下を呼ぶことだ。
 ブリュレはスプーキー・パンプキンに部下として呼ばれ派遣され、今は朔陽の一時的な部下として従うよう言い含められている、頼りになる援軍である。

 白狼の騎士・ブリュレ。
 彼らはダッツハーゲン王国建国前より、人と共に歩んできた一族の者だ。
 初代王の隣にも、彼の祖先である犬の騎士が一匹、王と共に歩んでいたという。

 犬であり狼でもある彼らは、ダッツハーゲン初代王と契約を交わした。
 『獣は人の守護者となること』。
 『人は獣の庇護者となること』。
 この誓いが破られぬ限り、ブリュレの一族は人を守り続けるのだという。

 王国における教育と歴史の積み重ねが功を奏したのか、人と同等の知性と言葉を持つこの一族に対して、国民のほぼ全員が人間と同じような扱いをしている。
 迷子の子犬には人間の大人が手を差し伸べる。
 人間が犬の忠告を聞く。
 騎士見習いが犬の騎士に武術を指導される。
 異世界人である朔陽達と彼らの一族、どちらか片方しか命を助けられないとしたら、この国の人間は犬の命を選ぶだろう。

 義理堅い彼らの一族は、異世界から来て今この国に住んでいるだけの朔陽達も、命をかけて守るに値する者達であると認定してくれていた。

「よって敬語も必要ない。
 我らが求めるのは友誼と敬意。
 よき隣人であること。よき友であること。
 その誓いを守り続けるのであれば、其方(そなた)らは拙者が守るべきもので御座る」

「分かったよ、ブリュレさん」

 出立の朝から、朔陽とブリュレの間でそんな会話が交わされている。

「道順の再確認だけど、これで大丈夫かな?」

「肯定する。
 其方(そなた)は少し慎重が過ぎるで御座るな。
 この世界のことを知らぬがゆえに慎重になるのは分かるが……
 明確な理と計算に基づき経路を一度決めたなら、後に迷う必要はない」

「そう言ってもらえるとありがたいよ」

 言うべきことをきっちり言ってくれるこの狼は、犬畜生とバカにできない高い知性と、一歩引いた視点から冷静に忠告してくれる頼りがいを、確と感じさせる。
 朔陽と、和子と、寧々と、この犬で、いざや向かわんクーリッシュ村へ。

「おっはー、佐藤くん」

「おはよう寧々さん……懐かしいねおっはー。おはスタまだやってんのかなあ」

「あ、さっき和子ちゃんと会ったよ。ウチ伝言頼まれた。
 体調悪いから悪いけどついて行けない、だってさ。
 ちょっと生理がキツくなってきたみたいだねえ、なんか」

「え、本当に? 女の子は大変だなぁ……
 顔合わせるの恥ずかしいだろうし、さらっと行って何気なく帰って来るのが一番かな?」

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