第8話 桜内さん
俺がバス停に向かうと、ちょうど千歌がルビィを棒付き飴で木の陰から引きずり出しているところだった。
「るーるるるる。」
「りゅっ!!!りゅっ!!!」
千歌が棒付き飴を引くと、ルビィが手を出す。マイクラのピストンのような謎原理でルビィを陽の当たる場所に出している。高校生になっても飴に釣られるなんて凄いな。よく今まで誘拐されなかったな。
「とりゃっ!!!」
「わっ!!!」
「捕まえたっ!!!」
千歌は空に向けて飴を投げ、ルビィがその上に飛んでいった飴に気を取られている間に千歌は抱きつくようにルビィを捕まえた。
「わっ、わわわっ!!!」
「っ!!!」
ルビィは捕まえられてから少しの間だけは抵抗していた(何故か笑顔だったが)が、飴が口の中に入ると抵抗するのをやめた。俺はよく変質者にハイエースされなかったなと、しみじみと思っていた。
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オレンジ色ラインが入ったバスは沼津駅に向けて海沿いの県道を走っていた。
「スクールアイドル?」
「すっごく楽しいよ。興味ない?」
「ああ、いえ、マルは図書委員の仕事があるずら。いいや、あるし・・・。」
千歌ちゃんから言われたスクールアイドルやってみないかという問に対し、花丸ちゃんは図書委員の仕事があると言い、断っている。席順は、私と千歌ちゃん、百香ちゃんが一番後ろの5人席、ルビィと花丸が5人席の一つ前の2人席に座っている。
「私も図書委員だけ「ちょっと黙るずら。」はい・・・。」
ハナマルゥスゥパァドゥルァァァァイ(百香ちゃんに対しての対応が)
百香ちゃんと花丸ちゃん、仲いいなぁ・・・。同じ中学校出身だからかな?
「そっか・・・。ルビィちゃんは?」
「えっ?あ、る、ルビィは、その、お姉ちゃんが・・・。」
「お姉ちゃん?」
「ルビイちゃんはダイヤさんの妹ずら。」
へー。ルビィちゃんはダイヤさんの妹なんだ。確かに目の色が同じだね。
「え?あの生徒会長の!?目の色以外全然似てないじゃん!!!」
「あ?」
キレた。千歌ちゃんの一言でルビィちゃんがキレた。・・・。千歌ちゃんはよく黒澤姉妹を怒らせるなぁ・・・。黒澤姉妹を怒らせるスペシャリストだね。
「ごめんなさい・・・。」
私がスクールアイドル嫌いだもんねと言うと、ルビィちゃんは、はい・・・と言って、悲しそうな目で窓の外を眺めてた。ルビィちゃんを見て、ダイヤさんって昔、スクールアイドル関連で嫌なことでもあったのかなと、口から出そうになったが、あえて言わないでおいて、今は曲作りを先に考えた方が良いかもしれないと言っといた。そうすれば何か変わるかもしれないからね。
「そうだね・・・。花丸ちゃんはどこで降りるの?」
「今日は沼津までノートを届けに行くところで。」
千歌ちゃんの問の答えは・・・。沼津まで行くらしい。バス停の名前は言ってない。うん。まあ、答えになってないような感じがするけど、千歌ちゃんが納得してるならいいか。
「ノート?」
「はい。実は入学式の日、凄い独特な挨拶をして恥ずかしくなったのか、逃げ出した子がいまして・・・。それっきり学校に来なくなったずら。」
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