ロモスの最期!
「…猛虎破砕拳!」
『?!素晴らしい…』
一撃でデッドアーマーが大破させられたことに、ミストバーンは敵ながら嘆息し
「閃華裂光拳!」
「?!あれはマホイミ!!奴は僧侶なのか!」
ドラゴンの騎士であるバランは、配下のドラゴンが絶叫を上げ、のたうち回る姿から敵の技を分析する。
「ああ?何だマホイミって?」
「確か回復魔法をかけすぎると、肉体の回復機能が暴走する魔法じゃな…じゃがあれは通常のホイミより魔法力を多用するはずじゃて」
「ほぉ。って事はコイツは俺様の獲物って事だな?」
他の軍団長には通用するだろうが、俺様には通用しねぇ。そう思い前に出ようとするフレイザードに待ったがかけられる。
「やめて置け、フレイザード」
「…魔王、ハドラー」
「…14年ぶりか。貴様には随分と苦戦させられたが…ここで終わりだ。バラン、ミストバーン。そいつを殺せ」
軍団長を二人も差し向ける。
過剰過ぎる戦力投入だが、魔王軍の精鋭では相手にならないなら最大戦力を差し向けるしかない。
「残りの軍団長はロモス王宮を南北から攻めたてろ。今日で、ロモスを落とす」
刻限は残りわずか。ここで失敗などしようものなら…
全軍団長の脳裏に業火のビジョンが浮かび上がる。
残りの軍団長は精鋭と百獣魔団の一隊を借り受け、それぞれ攻め込む。もはや碌な抵抗も出来ずに制圧されていくロモスだが、ある戦線は未だ持ちこたえていた。
「猛虎破砕拳!」
「ドラゴニックオーラ!」
バランは一撃を正面から抑え込む。全開で守っているが、それでも苦痛を感じ、顔を歪める。
その攻防の最中、ミストバーンが闘魔傀儡掌で縛ろうとした直前に、するりとすり抜ける。
「…まるで枯れ葉を相手にしているようだ」
『…それでも寄る年波には勝てぬとみえる』
「何とも元気な老人だ。だが」
真魔剛竜剣をバランは抜く。
「見切った。」
「……」
その双眸と構えから、ブロキーナは己の死を悟った。逃れる術は無いだろう。
せめて、せめてこの者だけでも!
フルパワーで攻撃しようとした直前、バランの額が光る。
直後、老師は空を仰ぎ見ていた。腹が、痛い。
ややあって、老師の意識は暗転する。
『紋章閃か』
「かかりおったな…フン、戦いの年季が違うわ。」
そう言い捨てて、バランは剣を一閃させる。
「これで最期、か。何とか期日までには間に合ったな」
その日、ロモスは灰になった。
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